魔術列車殺人事件12


「美雪!!」

 聞こえてきた金田一の声に、俺は飛び起きて、扉を開ける。そして階段を駆け降り、外へ向かった。確か、底なし沼があったと思う。そこへ金田一が誘導されて、落とされていた記憶がある。左右を見渡し、赤いバラの花を探す。ソレよりも先に見つけた下半身が埋まってしまった金田一に、俺は駆け出す。

「金田一!」
「馬鹿!ヤマト!こっちにくんな!!」
「馬鹿はそっちだ、馬鹿野郎! 今助け――」
「それはよして頂きたい」

 ふわり、と現れたそれに俺はビクリと体をはねさせる。『地獄の傀儡師』の格好をした高遠、だ。彼を睨んで見上げるが、彼は一向にひるまない。こんなときに、コナンの不思議道具があれば。

「君も彼と同じ臭いがするよ。君にもご退場いただこうか」
「にげろっ! ヤマト!」
「っ!」

 どうする、どうする。徐々に木に追い詰められる。ふわり、と香った薔薇の花の匂いに俺は顔をしかめた。ぐらり、と傾く体。睡眠薬、と気づいた時には「時すでに遅し」である。傾いた体は高遠にささえられ、俺の思考は暗闇に染まった。

「――っ!」

 微かに金田一が俺を呼ぶ声が聞こえたのは気のせいかもしれない。