Where is Dyle??02
数分後、連れて来られたのはパッと見ただけでわかる壊れた人形である。ちょっと不気味でこの人形を部屋に飾らなかったのもわかるぐらいだ。俺はそれを見てあの山神のマリオネット的な死体を思い出したのだが、アキはそうでもないらしい。「ありがとうございます」と加納さんに告げた。それを見ていた元太が、「アキ姉ちゃん、趣味悪いぞ」と言っていたが、アキは笑みを浮かべただけである。俺はアキを見上げて首を傾げる。
「それ、なおすの?」
「ええ、糸を切れば治りそうですから。後は体を洗ってあげれば、怖い表情も治るでしょう」
「それなら、簡単な道具なら揃えられますが、いります?」
「いいんですか? 」
「ええ、その代わり、動かして頂けませんか? 実は、祖父がこれは二つで一つと言ってた意味がわからなくて……」
「ええ、大丈夫ですよ。マリオネットの糸は持ってるのでハサミと濡れ雑巾、油差しがあれば……」
マリオネットの糸、常備かよ、と思ったが、アキは何処からか色んな物をポンポンと出してくることを思い出して口を紡ぐ。コナンが不思議道具なら、アキはさしずめ四次元ポケットだろう。しばらくして、加納さんにより届けられた物でアキはさっそく作業に取り掛かった。
そんな中、アーサーが家の中まで入ってきたらしい。ワンワンと吠えながら、加納さんを引っ張っていく。俺が気になってその後を追うと、一人の女性と一匹の犬がいた。か、かわいい。女性が一緒にいた犬を離せば、アーサーと2匹で駆けていく。
「シェットランドシープドッグですね?」
「ええ、名前はクリスティ!」
クリスティ、ということはアガサ・クリスティからきた名前だろうか。なるほど、推理小説コンビ……と思いながら犬を見送る。うーん、やっぱり犬を飼いたくなってきた。
ボーン、と不意に鳴り響いた鐘の音に、灰原が抱えていたパピヨンのドイルがかけていく。
「おやつの時間だからだよ!僕の母さんは毎日昼の12時にドイルの大好物のチーズを与えてたから……そうだ!面白い物を見せてあげるよ!」
そういってキッチンへ向かった加納さん。手に持ってきたのはチーズだ。曰く、毎日和室で座布団をひいておやつをあげていたらドイルが覚えてしまったらしい。やっぱり犬は賢いというか。何とかの犬実験、とやらだ。
しかし、少年探偵団が和室を開けると、そこにはドイルはいない。座布団もいつもひっぱりだしている青い座布団も座布団の山の中だ。
「変だなぁ?どこ行っちゃったんだろ……」
「とにかく、みんなで手分けして捜そう!変な所に入って動けなくなっていたら大変じゃ!」
アガサ博士の言葉により、全員で探すことになった。