露西亜館殺人事件03
応接間に入ると、多数の視線をいただきました。ヤマトが私と高遠さんを生暖かい目と言われるそれでみている。
「あら、ローゼスさん。彼女とは知り合いだったの?」
「……いえ?ただ、部屋に籠ってしまった彼女が気になってしまいましてね。可愛らしい女性を放ってはおけないでしょう?」
片目を髪で隠した女性――幽月さんの言葉に、仮面をつけた高遠さん――スカーレットさんが言う。私は手で真っ赤な顔を隠して「からかわないでください、ミスター・スカーレット」と告げるしかなかった。
それからしばらくすると、二十二時を告げる鐘がなり、弁護士である有頭さんがビデオをつけた。
はじまったビデオの内容は陰険そのものだ。どうやら周りはお金を本当に必要としている人達らしい。なるほど、だからこそ遺産相続にあつくなるわけである。評論家の先生がビデオに怒り、部屋を退室する。胸の内が悪くなる内容だから仕方が無い。
不意に、終わったと思っていたビデオが動きだし、山之内氏が父の話に触れた。
「飯塚君、君はお金が必要ないというだろう。はたして、それは本当だろうか。君には子供がいると聞いたよ、年に一度会えたらいい方であると言う子供がね」
私とヤマトに視線が向く。私は涼しい顔をしながら紅茶を啜り、ヤマトは顔をしかめたままうつむいている。
「君に我が遺産が手に入れば、君は子供達を連れて世界を飛び回ることができるだろう。是非ともお金を手にいれて一家団欒の幸せを掴みたまえ」
「いらねーよ、そんなもん」
「いらぬ親切大きなお世話、と言うやつですね」
ぽつり、と不満をこぼしたヤマトに私も同調する。お金が増えたとして、両親が私達を連れてはいかないだろう。理由は万年バカップルなのか、私達が邪魔なのかは知らないが。父や母が私達を連れて行くつもりなのであれば、もうとっくに連れられているだろう。
今だにこちらを捉えて動かない視線にため息をつく。ヤマトも顔をしかめてはいたが、ぐう、と可愛らしくお腹がなった為にお腹に手を添えた。
「なぁ、それより腹減った。これでビデオ終わりだろ?飯にしようぜ」
「そうですね、あ、有頭さん、これ、父から預かったものです」
そう言って父から預かった手紙を渡す。内容を読んだ有頭さんが息を飲んだのがわかった。私もヤマトも内容を知らない。何が書いていたんだろうか。