Farewell of --lady consort05


 目が覚めると、ベッドの上にいた。首を傾げてあたりを見る。外はまだ暗い。どうやら、まだ夜中のようだった。
 何が、あったんだっけ、と頭を動かす。たしか、高遠さんとお酒を飲みながら雑談していたはずなのだ。しかし、途中から記憶が無い。体がダルイことを考えると、何かはあったんだろう。
 とりあえず、寒いので置いてあったバスローブを上着がわりに羽織ってベッドルームからでれば高遠さんと龍道がいた。高遠さんがマスクマンの衣装を着ていることに気づき、自分の服を見れば違う服装になっている。いつ着替えたんだろうか。

「おや、おきましたか。マリア」
「ええ、」
「気分はどうです?」
「スッキリしていますが……高遠さんとお酒を飲んでいる途中からベッドに入った記憶がありません。そこだけモヤモヤしています」
「そうですか。マリア、貴女は決して私以外の人の前でお酒を飲まないように」

 そう告げた高遠さんに首をかしげる。龍道も首を傾げていた。

「さて、そろそろ次の計画に移ります。マリアと貴方が会うのはこれで最後でしょう」
「最後、?」
「ええ、彼女には彼女の事情がありますから。……マリアにまた会いたいのであれば、計画を完遂することです、巌窟王」

 高遠さんの言葉に龍道は頷いた。そう、私は明日この国から出国することになっている。イギリスへ向かって、だ。中国には『マリア=ゼペット』という別人になって入国しており、『飯塚アキ』はイギリスに居ることになっている。そろそろ中国を出国しなければ、日本へ戻るのが遅くなる。ちなみに、これは『ヤマトが勘づくだろうから』という高遠さんの配慮だ。まだまだ香港に残って、高遠さんを手伝いたいのは山々だけど、日本に帰って他の手伝いがあるので、残念だがここで退場である。

「貴方に安らぎが訪れることを祈っています、龍道」

 そう言って彼の額にキスを落とす。やはり、どこかヤマトの面影を持つ彼に笑みを向ければ顔をそらされた。高遠さんがそれをみて、私にキスを落とす。私はソレに、ふふ、と笑って部屋を後にした。
 さて、後は高遠さんの芸術が完成するだけだ。それを、私は待つだけでいい。そう、待つだけで――。