alea iacta est
毛利探偵の家に迎えに行って、イギリスのおみやげを渡す。お菓子と紅茶、毛利探偵にはお酒、蘭ちゃんには小さなテディベア、コナンくんにはホームズのグッズを渡す。とても喜ばれたので、良かったと思う。
同じくホームズグッズを手に入れて上機嫌なヤマトと手をつないで帰る。機嫌がいいヤマトの話を聞くに、どうやら、毛利探偵に大阪へ連れて行って貰ったらしい。そして、その大阪で警察署の見学をして、それが楽しかったのだとか。それは良かったとヤマトの言葉に笑顔で相槌を打つ。
「で、アキはイギリスに行ってたんだよな?パスポートみせて」
「?いいですよ」
家について速攻にはいったパスポートチェック。高遠さんのよみはあたっていた。内心で苦笑いしつつ、表面では首を傾げながらパスポートを見せれば納得したらしい。よかった、と安堵の溜息を吐かれた。
「どうかしたんです?」
「いや、アキが高遠の事件に巻き込まれてないか心配だっただけ」
「ふふ、心配症ですね。高遠さんは私のお見送り以降会ってないです……また捕まってしまったようですが」
「……そうだな。でも、アイツの事だから、ぜってー脱獄してくるんだと思うんだよな」
複雑だ、と唇を尖らせたヤマト。確かに、複雑だろうな。ヤマトは正義感が強いのだから。私は嬉しいのだけど。
「なぁ、アキ」
「どうしました?」
「俺、将来、人を救う職業になりたい」
「人を救う職業、とは?」
「いまんとこ、警察官」
そう告げた、ヤマトに少し目を見開く。ヤマトはコチラを向いていないため、それに気づかなかったようだが。「明智警視や剣持警部にいろいろ聞かないといけませんね」と返答すれば、ヤマトはコチラを向いてニカリと笑った。
「やっぱそうだよな!アキって将来なりたいもんとかあんの?」
「私は、そうですね。マジシャンか――」
「高遠のお嫁さんはナシな」
「む、そうなれば――人を救う職業、ですかね。漠然と、ですが」
そう告げれば、目を見開いて嬉しそうに笑ったヤマトに罪悪感を覚える。ヤマトが人を『生』という形で救うなら、私は人を『死』という形で救う人になりたいのだ。
――高遠さんと同じように。
正反対、である。何時だったかは忘れたが、はじめちゃんと高遠さんは「平行線」だと「コインの裏と表」だといっていた。常に側にありながら、決して交わることがない。
私とヤマトも恐らくはソレになる。ヤマトが光だとすれば、私は完璧に闇なのだ。なにがきっかけでこうなったのかはわからない。でも、きっと、もうとっくの昔に賽は投げられていたんだろうと思う。
――いつか完璧な「平行線」となってしまえば、ヤマトはわたしを批難するだろうか。する、だろうな。でも、それまでは。
ぎゅっとヤマトの手を握る。繋がれた手は温かい。
「ヤマト、」
「なんだよ?アキ」
「――いえ、なにも」
でも、それまでは、普通の姉弟でいたい、だなんて、私のわがままなんだろうか。