WhiteChapel Murder03
「とかなんとか、テレビでいーっぱい言ってたよ!」
会場にて、不意に聞こえた声にフリーズする。今の声、灰原じゃね?
ぎぎぎ、と顔をそちらに向ければコナンや少年探偵団、毛利探偵に蘭さん、園子嬢がいる。まじでか。事件の匂いしかしねーよ。なんか頭に引っかかってたけど、これのせいか。事件の予感か。そんな予感はいらねーよ。
くるり、と方向転換を決めようと思ったが、アキが同じく少年探偵団を発見してしまったらしい。お友達がいますね、ヤマト、だなんて言うのだから近づくしかなくなった。しかしながらも、行くのを渋っているとコナンが先に俺を見つけたらしい。あれ、ヤマトじゃねーか、と惚けた声を出した。
「あっれー!ヤマトくんにアキ姉ちゃんじゃねーか!」
「アキちゃんも招待されてたんだ!」
そう言って騒ぎ始めた面子に苦笑いしながら近づく。高遠が少し首を傾げて、知り合いですか、と聞いてきたので、まぁな、と返した。一部はこの前あってるんだけどな。
「お久しぶりです、毛利探偵、園子ちゃん、蘭ちゃん、みんな」
「本当に久しぶり!アキちゃん達も招待されてたのね!」
「父が開発に携わっていたみたいで……」
「だからヤマトは参加者のバッジつけてんのか」
「まぁな」
アキの言葉に、コナンが俺のバッジを見る。それに返事をすれば、何処か納得したようだった。アキが続けて口を開く。
「紹介しますね。こちらは、遠山遙治さん。今は訳あってボディーガードをしてもらってます。遠山さん、こちらは『眠りの小五郎』で有名な毛利探偵です。で、そばにいるのが毛利探偵の娘さんの蘭ちゃん、その隣にいるのが鈴木財閥ご令嬢の園子ちゃんです」
「こんにちは、遠山遙治です」
そう言って毛利探偵と握手をした高遠をみる。警戒、は、してなさそうだ。毛利探偵は剣持警部みたいな人間だしな。所謂、高遠が『騙しやすい』部類の人間である。そんなんでも元刑事なのだから驚きだ。……剣持警部は現役の刑事か。そんなことを考えていれば、隣に来ていたコナンが俺に耳打ちした。
「なぁ、ヤマト。あの遠山さんって人、この前のアキさんの恋人だよな?」
「よくわかったな」
「バーロー、目の色は確かにちげーけど、名前と雰囲気が一緒だろうが」
「……まぁな」
そう言って二人で高遠を見上げていれば、高遠が此方の視線に気づいたらしい。ご丁寧に少年探偵団に視線を合わせて屈んでくれた。
「おや、君たちは前に一度会いましたね?」
「え、」
「覚えてませんか?」
「……飯塚さんの恋人じゃなかったかしら」
すらりと答えた灰原に、高遠がクスクスと笑う。蘭さんと園子嬢がアキをみて「え、アキちゃんの恋人!?」っと叫び、アキが顔を朱色に染めた。
「本当だ!よく見ればあのマリオネットのお兄さんですね!」
「覚えていてくれたようで、嬉しいですよ」
クスクスと笑った高遠は立ち上がると、顔が真っ赤なアキをみて首を傾げてみせた。アキは無言で首を左右に振る。
「恋人がボディーガードだなんて、素敵〜」
「でも、どうしてアキちゃんにボディーガードが?」
「あぁ、それは彼女が指名手配中の人間に付きまとわれたからなんですが」
おい、こいつ、自分で付きまとうっつったぞ。高遠の言葉にコナンと毛利探偵が真剣な顔になった。
「指名手配犯?」
「えぇ、高遠遙一、という凶悪犯にね、」
「高遠遙一って、あの魔術列車の!?」
「えぇ、何処でアキを見たのか知りあったのかは知りませんが、僕のアキに手を出すとはいい度胸ですよ、まったく」
「アキ姉ちゃん大丈夫なの!?」
「遠山さんが守ってくれるから、大丈夫だよ」
心配するコナンに、アキがふわりと笑って遠山さんの腕に手を絡めた。アキから絡みにいくとは珍しい。まぁ、その守ってくれる本人が『つきまとってる』高遠なんだがな!誰も気づかないっつーな!おっかしいなぁ!!
そんな俺の内心とは裏腹に、周りは誰一人気づかない。高遠が眉尻をさげてアキを見る。
「過信しすぎです、アキ。僕が高遠遙一に殺されたらどうするんです?」
「……後を追います」
「やめてください。僕が守る意味がないでしょう」
「じゃあ、遠山さんが死んだら、俺が、嬉々と、高遠を監獄に連れて行ってやるよ」
途切れ途切れ強調していった俺の言葉に、アキは『すぐに脱獄されそうですけどね』と眉尻を下げた。そうだった。高遠は脱獄が得意なんだった。隣にいたコナンに目をやれば呆れた表情である。
「……言っとくけど、ガチで狙われてるからなアキ。そのうち高遠遙一に拐われるんじゃねーかってぐらい」
「え?」
「なんか知らねーけど、気に入られてんだよなぁ。だから、遠山さんが来るまで、ずっと警察が見張ってたんだよ」
「……そうだったのか」
そう言ってアキをみるコナンに、隣のやつが高遠なんだぜ?日本の警察無能じゃね?とは言えず。俺は談笑するアキと高遠達をチラリと見てため息をついた。