WhiteChapel Murder04
かの有名な工藤優作の隣に立つ、仮面をつけた父親に苦笑いする。どうやら、ゲームのシナリオに貢献したらしい。どっちがダークヒーローの『闇の男爵』書いていて、どっちがホームズ的な『ch.』シリーズ書いてるかパッとみ勘違いされそうだよな、と思う。
「飯塚龍一も父さんと旧友だったのか……って!飯塚!?」
「うるせーよ、耳元で叫ぶんじゃねー、キンキンする」
「お前、まさか、飯塚龍一の息子だったのか!?」
「そうだよ、あいつの息子だよ」
俺は生温い目で、キラキラと目を輝かせているコナンをみる。そういやコイツはミステリーマニアだった。あっという間に飯塚龍一トークを始めたコナンから目を逸らす。そして、父親を見れば、また父親は不敵な笑みを浮かべていた。
「ミステリー作家の共作のシナリオだなんて、ミステリーマニアには堪りませんね。コクーンの試乗体験ができる子供達がうらやましいくらいです」
不意に少し離れた位置にいた高遠が肩を竦めてそう告げた。そういやコイツ、自分の予定もなくアキが勉強してる時は書斎の本を片っ端から読破してたな、と思う。……何気に経験値稼いでないか?高遠。高遠の言葉にアキが少し笑うのが聞こえる。とりあえず高遠爆発しろ。むしろ捕まれ。
そう念じていれば、コナンの飯塚龍一トークは終わっていた。要約すると、コナンは現代のホームズと言われる『ch.』シリーズ好き。後、年に一回でるかでないかの不定期の本も好き。要するに飯塚龍一の作品全部好き、だそうで。俺が苦笑いしていると、いつの間にか来ていたアガサ博士も苦笑いしていた。うん、そうなるよな。このままだと永遠に飯塚龍一トークが続きそうだったので、話題をかえることにする。
「……そのミステリー作家が作ったゲームってどんなのなんだろうな。アガサ博士はなんか知ってんの?」
「詳しくは言えんが、時代は十九世紀末のロンドンじゃ」
「十九世紀末のロンドン?父さんも好きだねぇ」
「親子揃って、じゃな」
おい、この二人俺がいることわかってんのか。俺、コナンの正体は知ってるけど、本人の口からは聞いてねーんだけど。あれれー?俺の存在忘れられてんの?
「……フランスじゃなかったのか」
「フランス?」
「飯塚龍一の方は十九世紀末のフランス好きだぜ」
本人からは聞いたことはないが、母さんにベタ惚れしている時点で、十九世紀末のフランスは好きだと思っている。アガサ博士は「だから白熱した討論をしてたんじゃな」と納得していた。
「白熱した討論?」
「ああ、十九世紀末のロンドンにするかパリにするかで揉めに揉めての。結局、龍一君がとあることを条件に折れたんじゃ」
「とあることを条件に?」
「ヤマト君は参加をするんじゃろ?やってみればわかる、と言っていたんじゃが」
「おい、俺、少年探偵団が参加できねー中、一人で参加する勇気はねーよ」
「それなら、コナンくんにも、ほい、お土産じゃ」
「二人ならいいって問題でもねーよ、博士。俺たちだけ参加するわけにもいかないだろ?」
「そうそう、ま、コクーンには興味あるんだけどな」
そう言って舞台から目を離し、高遠とアキがいた場所に目を向ける。
「あれ?」
先程までいた二人はいなくなっており、辺りを見渡すがいそうもない。首を傾げれば、コナンにどうした?と聞かれた。
「いや、なんでもない」
二人で何処かに抜け出したんだろうか。 別になにもしないだろうからいいんだけど