奇術師愛好会殺人事件07


 コナンと一緒に、ワインセラーや風呂焚き場をめぐる。

「なぁ、コナン、これ見ろよ」

 足元で見つけたホッチキスの針をコナンにわたし、風呂場の窓に登る。どこかにこれが刺さったあとはないだろうか。見ていると見つけた規則正しく止まった小さな穴に、ここに刺さっていたのかと納得する。これが、風呂の窓が割れた細工のなにかなんだろう。

「ホッチキスの針?」
「あぁ、こっちにはホッチキスの穴があるぜ」
「ホッチキスの穴?」

 隣に登って来たコナンに場所を譲り、一緒になって見ていると、いきなり体が浮いた。それは隣のコナンも同じだった。

「捜査は順調に進んでるかい、探偵君?」
「さすが少年探偵団ですね」

 クスクスと笑いながら俺を抱き上げているアキと、コナンを抱き上げている土井塔さん。二人で生返事を返せば、部屋の中に誘導させられた。もう少し調べたかったけど、こうなると仕方が無い。園子嬢にもう一度、マジックのことを聞いておさらいした。失敗したのは浜野さんの責任ではない。あの時、アキはどんな行動をとった?確か、印が書かれていない紙を見て――。なんで、それをする必要があったのか。

「あ、そうか」

 小さく漏れた声に、隣にいたコナンが首を傾げる。

「どうしたんだよ?」
「園子嬢のマジック、書けないペン渡されたんじゃねーかと」
「書けないペン?……なるほど、サクラか。それなら全て納得が行くな」
「あぁ、犯人の目星もだいたいついてるし。後は不可能犯罪なんだが……」

 ちらり、とアキを見る。園子嬢と蘭さんと話しているらしい。ヒントはこれ以上だしてくれなさそうだ。

「良かったらワインでもどうです? あったまりますよ?」
「こんな時にお酒?」
「軽く飲む程度ならいいんじゃない?」
「気分直しにもなりますし」

 そう言ってお酒を出す荒さんに、俺とコナンはボトルをひっくり返した。そこに書かれていたのは、ヨットの絵で――。

「そうか、だから、ボウガンが必要だったのか」
「ああ、確かにこれはボウガンがなきゃ成立しない」

 アキの言葉の意味を潔く理解する。そう言う意味だったか。

「じゃあ、謎解きはお前に任せたぜ?コナン」
「ったく、またかよ」
「バーカ、俺はお前と違って不思議道具持ってねーんだよ」
「不思議道具ってお前な……」
「俺、アガサ博士はドラえもんだと思ってるから」
「俺はのび太かよ……」
「映画版のな」

 映画版ののび太は普段と違って活躍するのが特徴である。まぁ、のび太にしろコナンにしろ、主人公なので同じといえば同じなのだが。

「コラ!イタズラしちゃダメでしょ?」

 蘭さんにボトルを没収されたコナンは、宿題をするからと称し、糸やホッチキス、長いヒモを取りにいった。

「あら、ヤマトくんはいいの?」
「俺、終わった」
「昨日部屋にこもって必死に何かしてると思ったら、宿題してたんだ」

 クスリと笑って、アキがフォローしてくれる。蘭さんは納得したように頷いた。

「私はちょっと、コナン君とヤマト用にココアか何かをいれてきます」
「キッチン、わかります?」
「大丈夫です。ヤマト、手伝って」

 須釜さんの言葉に、アキはゆるりと首を縦に振った。俺も頷いて後に続く。丁度なんか飲みたかったしな。