WhiteChapel Murder18



 小さな車両に集められた乗客。車掌の言葉に、乗客は皆両手を上げた。武器を持っているかいないのか、の確認のソレだが、実は違う側面を持っていたりするのだ。コナンの推理ショーが始まった。
 いわく、二人目の被害者と、犯人であるジャック・ザ・リッパーは親子だったのではないか。そして、遺留品として見つかった2つの指輪は「二人の絆」を示すものだったのではないかと。小さい指輪。それをつけたままずっと過ごしてきたことになる。

「じゃあ、殺人の動機は自分を捨てた母親への恨み……でも、それは愛情と背中合わせの殺意。悲しいわね」

 そう言った蘭さんに高遠が少し反応したらしかった。コイツは『母親を殺された』恨みで殺人を犯すようになり、一方でジャック・ザ・リッパーは『母親に捨てられた』恨みで殺人を犯すようになった。モリアーティにより受けた教育。それにより、母への恨みを晴らしても、同じような女性に殺意を抱くようになってしまった。高遠は、どうなんだろう。母親の復讐を遂げても、『誰かの復讐』を操って遂げさせる。似たような意識なのかもしれない。

「それで、どいつだ?」
「――子供の頃から同じサイズの指輪をしてたんだ。どうなるかわかるだろ?」
「そう、ジャック・ザ・リッパーは子供の頃から同じサイズの指輪をしていた。多分、十本の指の中でその指だけほそいはずだよ」

 その言葉に、乗客は騒ぎ始めた。俺じゃない、私じゃない、とアピールする中、平然と座っている女性。

「ジャック・ザ・リッパーはお前だ!」

 コナンの人差し指が刺した場所には、その女性だ。ゆっくりと手を上げたその女性。右手の薬指は、細い。彼女は立ち上がると、ドレスを破り、唇を拭った。おとなしく美しかったその顔は一気に獰猛なものへと変わる。そして、彼は煙幕を投げた。俺達はそれに怯む。

「窓をあけて!」

 コナンの言葉に、歩美ちゃんと菊川が動く。そして、窓が空いたらしい。煙は段々と外へ流れていった。

「いない――?」
「おい、!乗客とあのねーちゃんもいねーぞ!」

 諸星の言葉に、俺達は周りを見る。乗客がいない。アキも、いない。高遠がいる今、プログラムから除外されたということは恐らくないだろう。

「油断してしまいました。そう言えば、私達もターゲットでしたね」
「そんなこと行ってる場合ですか!」
「恐らくマーダーは列車の上にいるでしょう。しかし、二手に別れましょう。ここに乗客がいないとなれば――恐らくは他の乗務員もいない。君たちはまず機関室へいって、止められるかどうか確認してください」
「遠山さんはどうすんだ、」
「私、ですか?決まっているでしょう?」
「悪いけど、俺もついていくぜ、遠山さん。アンタ、ジャック・ザ・リッパーを殺す気だろ」

 俺の言葉に、高遠はすっと目を細めた。

「貴方はとんだ善人ですね。ゲームの中だ。悪人が死んだとしても、誰も嘆かない」
「いーや、それでも、だ。アンタは犯罪者じゃない。アキのボディーガードだ。殺しちまえば、あの犯罪芸術家と同じ穴の躯だぜ」
「――いいでしょう、ヤマトくん」
「僕も行く!」
「お、俺も!」
「私も!」
「毛利さんはそこの女の子二人と菊川くんを連れて機関室の方へ向かってください。年上が二人同じところへ行っては、意味がありませんから」
「……わかりました!いこう、歩美ちゃん、哀ちゃん、菊川くん!」

 そう言って走っていった蘭さん達を見送り、高遠は俺たちを見た。

「いっときますが、おそらく貴方達を守る余裕はありませんので。自分の身は自分で守ってくださいね」