とある少年少女の思考
「お前、ほんとゲーム下手だな」
コナンがゲームをする隣で、ケラケラと笑うヤマト。それを眺めていた灰原哀は少し考え事をしていた。それは、ヤマトのことである。
よくよく考えてみると、小学生となった工藤新一と同じ行動をする彼は正真正銘の小学校一年生のはずなのである。でも、彼の行動は明らかにおかしかった。子供のソレじゃない。大人びているという感じでもない。大人が子供になった、というのが当てはまるだろう。まるで自分たちのように。
――工藤くんはこの考えを理解しているんだろうか。彼は自分の正体をまるでヤマトが理解しているのをわかっているように動くけれど。
いつもどおり集まって、ゲームをして解散。そんな時に、灰原哀はコナンに声をかけた。
「ねぇ、工藤くん」
「なんだよ、灰原」
「飯塚くんって、小学校一年生よね?」
「同じ学年なんだから、あたりまえ、だ、ろ……」
「あら、その反応を見るに、今ソレに気づいたっていう感じだけど」
動きを止めたコナンに灰原哀は彼をジト目で見る。しかし、彼は考えこんでしまったらしい。
「彼は貴方とそっくりだわ。思考回路も大人のソレよ。子供のものじゃないわ」
「――ああ、たしかにそうだよな。今考えるとおかしい。なんで中身が『高校生』である俺や『大人』である灰原とあんなに話が合うんだ?大人びてるにもホドがあるよな」
「そうなのよ。私も今までは何も思わなかったんだけど、彼、二年前に発表されたノアズ・アークの論文を知ってるの。普通に考えて当時四歳よ?最近読んだとしても、六歳児が理解できる内容じゃないわ」
「まさか、俺達と同じ?」
「さぁ、どうかしら。今思えば、彼は結構謎だらけなのよね。両親のことだって、この前のパーティーで初めて知ったじゃない。お姉さんのこともつい最近だったし」
「ああ、――しかたねぇ、本人に聞いてみるか」
ため息を付いたコナンに、灰原哀はそちらを見た。
「だって、しかたねーだろ。アイツは悪い感じも何もねーし、本人に聞くのが手っ取り早いって」
「それもそうね」
そう答えた灰原は少し目をつぶる。
――工藤くんは『彼が自分と同じ経験者』としてみているけれど、それが違ったらどうするつもりなのかしら。答えが非科学的なソレなら。
どうしたんだ、と首を傾げたコナンに、灰原は何でもないと首を左右に振った。