血溜ノ間殺人事件(03)



夕食時である。高遠さんやヤマトに一応勝利報告をし、遅れて夕食の部屋へ向かえば、全員揃っていた。相手の高校さんが少し暗いのは私のせいだろうか。そうだろうな。

「アキちゃん、遅かったね」
「ごめんなさい、ヤマトに電話を……」

そう告げて遅れて夕食を食べる。私が食べ終わる頃には、相手の高校さんの殆どは部屋に戻ってしまった。ただ、昨日の再戦を、と、星くんがリバーシの盤を持って私の元へ来たので、今ははじめちゃんが相手をしてくれている。

「ごちそう、さまでした」

そう告げて食器を重ね、美雪ちゃんや剣持警部に近づく。はじめちゃんと星くんはいい勝負を繰り広げていた。チラリとこちらを見た星くんは、また盤に目を移す。

「アキちゃん、星くんと知り合いなの?」
「昨日、一緒にリバーシしたの」
「へぇ、もしかして、アキの好みって、星みたいなやつなのか?」
「なっ、ちがっ!」

いきなり変な事を言い出したはじめちゃんに、慌てて否定する。学ランで垂れ目、はの字の眉にあの髪型が高校時代の高遠くんを思い起こす、とか、そういうのじゃ、ない!顔が赤いぞ、アキ、とか言い出したはじめちゃんに、ワナワナと震える。星くんを見ると、星くんは顔を下に向けて耳が少し赤くなっている。美雪ちゃんや剣持警部を見てもニヤニヤしているだけだ。

「は、はじめちゃんのばか!そうやって短絡的に物事を結び付けないでください!」
「照れてる照れてる。だってさー、結構人見知りするアキが気にかけるとかあんまりないことじゃん!」
「それは!星くんに嫌な予感がしたからで、」
「そんなこと言っちゃってー!」
「あ、あの、僕、失礼します」

そう言ってそそくさと出て行った星くんに、違うよと言いに行こうとする。しかしながら、酔った剣持警部がひゅーひゅーと囃し立ててきた。

「は、はじめちゃんと剣持警部の馬鹿!!もう口ききません!!」

ばたん、と襖を閉めて、とりあえず弁解しておこうと星くんを追いかける。
誰かが慌てて何処かへ行った音がして、首をかしげる。

「星くん!」

そこにいたのは倒れこんだ星くんである。首元に手を当ててみれば、生きてはいるようで、脈はあるし、呼吸もある。とりあえず、誰かを呼ぼうとした時、後ろからガン!という衝撃がきた。ぐらりと歪んだ視界に、これは大変だと思うが時遅し。そのまま意識を失った。