血溜ノ間殺人事件(06)
はじめちゃん曰く、謎は全て解けた、らしい。とりあえず、はじめちゃんの推理ショーを聞くべく血溜まりの間に向かう。犯人、ということで私に視線が向いた。違いますよ、といったところで、あまり意味がないだろう。なので剣持警部の近くによる。
一つ目。はじめちゃん曰くダイイングメッセージだという囲碁の石。白が52。黒が36。それは、ピアノの鍵盤を意味している。なるほど、白鍵と黒鍵の数だ。そして、それは音大を目指していた海峰くんをさしていると。
二つ目。オセロのゲーム名。彼は日本に住んでいながら、リバーシと呼んだのが私を除いて、2人。そして、そのうち1人が殺された。
「ちょっとまてよ、リバーシなら、飯塚先輩だって、リバーシって!」
「私が最初にリバーシ、オセロというそれを教わったのが、イギリスの帰国子女の方でしたから」
「ほら、それが、星なら、辻褄があう」
「残念ながら、星くんはこの合宿で初対面ですよ。私にリバーシを教えた方は年上です」
三つ目。アリバイの逆説。水の中に落ちた碁石。高価なそれを2分足らずで取れるか否か。拭くことを考えると、早すぎるそれ。そして、それははじめちゃんは一瞬で拾い上げた。
「……なるほど、透明なテグスですか」
「さっすがアキ!まぁ、これ見た時にアキがいりゃあ、もっと早くに解けてたんだろうけどな」
そう告げたはじめちゃんは黒い石を引き上げる。紐がやはりついていた。水の中では見にくいだろう。
「でも!飯塚先輩には!」
「いい加減にしなさい。私だったらもっとうまくやります」
自殺に見せかけるなり、芸術的に仕上げるなり。石に関してももっと違うトリックをする。
「私は、まだ未熟ですが、マジシャンとして誇りを持っています。それを汚すなら、許しません」
「でも、あんたにはアリバイが!」
「確かに、私にはアリバイはない。星くんを殺す動機もない。いえ、動機というのはこの際どうだっていい。人は些細な動機で罪を犯しますから」
「そう、そうだ! あんたは星に振られて――」
「星くんに告白なんかしてませんよ。私には既に大事な人がいますから。ただ、星くんが昔の彼に似ていたので気にかけただけです。貴方が犯人である証拠なんて探せば出てくる。なんなら、私が羽織っていた星くんの学ランから血液反応と指紋を調べればいいでしょう。ただの高校生である貴方が警察を欺き続けることはできるか? それは否でしょうね。そして、時期に貴方は罪悪感に包まれるようになる」
すっと目を細めて、海峰くんを見る。
「貴方はその罪悪感を抱えて一生を生きるつもりですか?」