深夜12時のシンデレラ-3-


 アキを抱き上げたまま家に帰るとナターシャが待ってくれていた。理由を話せば、アキの為にココアを入れてくれるらしい。アキを下ろしてソファに座れば、アキはギュと膝を抱えた。

「アキのお父さんとお母さんは?」
「……このまえ、帰ってきたから、つぎにかえってくるの、らいねんだとおもう」

 アキの言葉に眉間に皺がよる。これは、どういうことだろうか。僕の表情に気づいた彼女は、もの悲しげな顔で笑う。

「ずっと、こんなふうだから、気にしないでください」
「ずっと?ずっとって、いつから?」
「四年、くらい、前」
「……アキは今、10歳だよね」
「はい、今年で10歳になります」

 今年で10歳。その四年前といえば、6歳だ。6歳の子供が一人暮らし? そんなものは馬鹿げている。海外に出張するにしても、一緒に連れて行けばいい年齢だ。なのに、なぜ。

「いかないで、って、いったら、おかあさんが、いかなくちゃいけないからって。いっしょにつれていって、といったら、おとうさんが、むりだって。おまえはつれていけないって。じゃまなだけだって」

 ――その、何故を一番知りたいのは、恐らくはアキ自身だ。
 きっと、寂しかっただろう。僕のそれ以上に。父親に、母親に、邪魔だと言われてしまえば。 彼女は恐らく、そこで身を引いた。両親からそれ以上拒まれることが、怖くて。

 また蹲ったアキは、ずっと、僕よりも小さな体でそれに耐えていたんだろう。そして、耐えきれなくなった時。ああやって、外に飛び出すのだろう。
 そっとアキの体を抱き寄せる。少しでも、彼女の孤独が言えるように祈りながら。

「……よういちくん」
「どうかした?」
「ありがとう、ございます」

 そう告げたアキの頭を撫でる。丁度、12時を指す時計の音がなった。