月夜のワルツ-2-


 ついた先の神社には誰もいない。アキは周りをキョロキョロと見渡した。

「アキ?」
「この神社、オバケが出るって、はじめちゃんが」
「はじめちゃん?」
「おともだち、です」

 そう言って僕の服の裾をちょん、とつまんでいるアキは何かを見つけたらしい。肩を跳ねさせて僕の正面に回った。僕が後ろを見れば、そこには確かに人がいる。

「片倉部長!」
「なんだ、高遠か」
「……遙一くんの、知り合い?」

 そう首を傾げたアキに先輩だよ、といえば、先輩、とアキが言葉を繰り返す。どうやら先輩は霧島に呼び出されたらしい。そのあとも姫野先生と荒木田先輩がやってきた。

「その子は?」
「隣の家の子なんですが、彼女の両親が留守なので僕が面倒を見ているんです」
「あら、そうなの。でも、だめよ、出歩いちゃ」
「……寂しかったんだよね?」

 そうアキに尋ねればコクンと頷く。

「すいません、寂しがりやで」
「なぁ、高遠、この子、ハーフ?」
「……くぉーたーです」

 そうニコッと笑ったアキに、そうだったのか、と頭をなでる。また、アキの携帯が可愛らしい音を立てる。

「アキ、誰から?」
「霧島のお兄さんからです! みんなを連れてきてって」

 アキはそう言って僕達に携帯をみせ、アパートはたしかこっちです、と僕の手を引いた。

「場所、知ってるの?」
「かくれんぼの時、よくつかいます」

 そうアキが進んだ先には確かに廃屋のアパートがある。もう一度、アキの携帯電話がなり、それを見るとアキは明かりのついている部屋をノックした。

「霧島のおにーさん?」

 そう聞いても、返事はない。アキはドアノブを回すが鍵がかかっているようだ。

「アキ、携帯を見てもいいかな?」
「はい、」

 そう言ってアキは携帯を僕に渡す。確かにメールにはそう書かれていた。
 僕が携帯を見ている間に、アキは「最終手段です」といって、少し身を屈めた。そして、その瞬間またアキの携帯が新着メールをつげる。霧島からのそれ。嫌な予感がして、メールを開くのと、アキが新聞受けを押し開けるのは同時だった。

「アキ!!!」
「……きりしま、にいちゃ……?」

 目を見開いて固まったアキの目を塞ぎ、抱え込む。新聞受けの先には、確かに霧島の生首があった。

「きゃああ、」
「ひっ」
「き、きりしま!!」

 電気が消えた部屋、そしあつシューシューとした音がする。姫野先生の言葉にアキを抱えたまま、離れると、その部屋が爆発した。

「……きりしま、おにいちゃん」
「アキ、」

 そうぎゅっと抱き寄せる。彼女は、僕の服を握った。