月夜のワルツ-3-
「なるほど、」
つまりまたあんた達が生首マジックショーの目撃者として選ばれたわけか。
そう告げた刑事に、ピクリとアキが反応する。
「あぁ、違ったか。そこの小学生が第一発見者なのか」
そう言って刑事はアキをみた。アキは肩を跳ねさせる。
「お嬢ちゃん、何か覚えていないか?」
「刑事さん、子供にそれは酷では?」
「子供だから記憶力もいいだろう。で、何か覚えていないか。そもそも、なんで新聞受けを開けたんだ」
そう尋ねた刑事にアキは少し何処かをみた。
「あの部屋、かくれんぼの時に、つかうんです」
「ああ、餓鬼の遊び場になってる話は聞く」
「友達が、いつも、開けるとき、新聞受けから手を入れてあけてるから……」
子供だからできる技だろう。確かに、子供の腕ならば新聞受けから手を入れて鍵を開けることは可能だ。
「真っ暗でした」
「電気が消えていたか?」
「ちがいます、いつもある窓がありませんでした。壁も真っ黒で、床は赤と黒のチェック柄のカーペットがありました」
「……ほう、それで?」
「真ん中……きりしま、おにいちゃんの、」
「刑事さん、これはいくらなんでも酷すぎでは?」
アキの頭を撫で、抱き寄せる。アキは僕の服を握った。
「――あの部屋は、アキの言う通り、窓や壁を覆い尽くすように黒い紙か布が貼ってありました。床は赤と黒の格子柄のカーペット。真ん中には段ボールでできたテーブルに、霧島の首がありました。これで十分でしょう?」
「ほう、これまたずいぶん冷静に観察していたな。そこの嬢ちゃんも、だ。目の前に友達の生首があるってぇのに」
「アキはただ、貴方に現場の状況を聞かれたから答えただけでしょう。それに、僕はこれ以上アキにあの現場を思い出させたくないから見たままを話しているだけです。先にアキだけでも帰してあげてください!あの子は家からずっと僕といました。なら、僕の聴取だけで十分でしょう、権藤刑事!」
「……あぁ、それもそうだな。子供は幼いほど嘘が下手だろうから、別に聴取は明日でも構わん……送ってやれ」
そう言った刑事に、近くにいた警官がアキにあわせてかがむと、帰ろうか、と告げた。アキは僕を見上げる。
「何かあったら、連絡して。僕の部屋にいてもいいから」
そう言ってアキの携帯を彼女に返す。アキは頷いて携帯を手に取った。