恐怖の館事件(2)
「お土産話を期待しているよ」と高遠に送り出されて数分。目の前にある不気味な洋館にため息をつく。これって、もろあの事件だよな。地下に人が閉じ込められてるやつ。コナン以外の三人は見るからにびびっていて、なら、辞めとけよ、といいたくなるのにこれだ。
「よーし、みんな!持ってきた物出してみろ!」
元太の言葉に、苦笑いをする。
「オレはおばけ退治用の金属バット!」
お前は幽霊を殺す気か。幽霊を撲殺できるんだろうか。というか、幽霊を撲殺したとして、犯罪になるのだろうか。
「わたしはおなかがすいた時の、おかし!!」
あぁ、それはまだ理解できる。
「僕は一応、人数分の懐中電灯と、迷わないようにコンパスを」
光彦、お前が準備として一番正しい。
コナンくんは、と聞かれていたが、特に何も持って来ていないらしい。ただ、こいつの身につけている物はチートである。頭脳もチートだ。
「ヤマトくんは?」
「んー、俺は、誰かが怪我しちゃ困るから消毒液と絆創膏と、紙とか鉛筆だな」
「紙と鉛筆? 何に使うんだよ」
「なんかに使えるだろ。ペンは剣より強し、ってな」
三人が首を傾げて、コナンが苦笑いをしていた。まぁ、本来は意味が違うしな。
「でも、ヤマトくんのカバン、まだ何か入ってるみたいよ?」
「え?」
歩美ちゃんに言われてカバンを見る。確かに何かある。赤い薔薇に一枚の紙と何かがついている。名前を見なくてもわかる。選別ですよ、と書かれた紙には携帯がついていた。
「携帯?まぁ、なんかあったら連絡して来いってことだな。多分、ねーちゃんの恋人が勝手に入れた」
そう言ってポケットに突っ込む。姉である可能性も捨てきれないが、赤い薔薇=高遠なので高遠でいいや。
元太について、秘密の入り口とやらから屋敷に入る。思わず凝視してしまった。しまってしまった扉に眉をひそめた。
「これ、帰りどうする気だよ……こっちからじゃ、あかねーだろ」
「……はは、確かにそうだよなぁ」
隣で呆れたように声を出したコナンに、そちらを凝視する。すぐに「怖いね」だなんて猫をかぶりやがった。今更取り繕うとしても遅いぞ、高校生探偵。
元太が開けた先は、真っ暗な空間だ。
電気ついてないんだから当たり前だろうが。ただ、不気味である。幽霊を信じていない俺ではあるが、これは不気味だ。だから、歩美ちゃんがビビるのも仕方が無いと思う。元太に背中を押されるが、「俺、歩美ちゃんと帰るわ」と言い出して見たところ睨まれた。女の子1人残すのは心苦しいだろうが。まぁ、そんな心配も雷により吹っ飛んだが。しかしまぁ、この屋敷の雰囲気はどちらかといえば金田一だよな、と思いながら歩く。
「へへ、こうやって歩いてるとロールプレイングやってるみてーだな」
「そうね!私たちパーティーよ!」
そんなにきゃっきゃしてもいいのか。人にバレるぞ。
「もちろん、オレは勇者だ!」
……いや、お前は格闘家だ。お前のような勇者がいてたまるか。
「わたしは可愛い女戦士!」
いや、歩美ちゃんは僧侶っぽい。回復要員な。持ち物からして。
「僕は頭のきれる魔法使い」
うーん、光彦はそれであってるか。コナンが村人宣告受けたので、「じゃあ俺は村人Bで」と言ったら、周りに微妙な表情をされた。いいじゃん、村人。
いきなり開いた扉に、さっさと確認するかとスタスタと歩き出す。中を確認しても誰もいない。窓から入った風であいたらしい……が。
光彦がトイレにいってくる、ときえた後ため息をつく。できれば固まって移動した方がいいだろうに。
「普通に考えておかしいだろ」
「え?」
「長年窓があいてたわりにはおかしい。なんでカーテンこんな綺麗なままなんだよ。第一、それなら扉もずっと開いたままのはずだろ。どう思う? コナン」
話を振って、人がいる結論を出して帰りたかったのだが(なんたって家には未来の地獄の傀儡師と姉の二人っきり)、光彦の悲鳴が聞こえておじゃんである。