飛行場の跡、兵器庫の跡、兵士の宿舎。も抜けの殻のそこを少しの懐かしさを感じながら進む。講師はニコニコと笑いながら私の後ろをついて歩いた。
「先生はどうして鍵を?」
「さて、どうしてでしょうか」
講師は答える気は無いらしい。入った部屋は管制塔に似た場所だ。たくさんのレーダーを作動させることができる場所である。埃が被った機器を手で擦る。まだ動きそうだ。
先生は扉をもたれてこちらをみているだけだ。部屋の電気はつくし、まだレーダーのアンテナはある。恐らくスイッチを押せば起動するだろう。
そっとスイッチに手を伸ばしたところで、あの甲高いサイレンのような音が聞こえてハッとする。軍の建物だっただけあり、建物自体は頑丈だろう。いや、軍の建物だからあるだろうモノがあるはずである。そう、シェルターだ。こういう時は、短絡的に避難するすべがあるはずである。例えば――。地下に通じる階段、とか。
チラリと目線を下に向ければ床に見つけたそこを開く。やはり地下に通じる階段、というよりは梯子だ。私のそばに寄ってきた彼はそれを見る。
「シェルターですか」
「先生はどちら派ですか。今日も大丈夫だったと思う人か、今日は大丈夫だったと思う人か」
「後者ですね。そして貴女も後者でしょう」
「ええ、まぁ」
そう言いつつスマートフォンの明かりを元に下に降りる。律儀に上を閉めた彼が降りてくるのを確認してその先に進む。たどり着いたシェルターはやはり埃を被ってはいたが、何が色々なものが置いてあった。
4分なんて時間はあっという間である。先生がシェルターの扉を閉めたのが丁度4分だろうか。微かな振動に目を見開いて上を見上げる。それはあの講師も同じだった。運がいい子供だ、と英語で呟かれた言葉は無視をして、近くにあった携帯食料や予備のバックパックを漁る。数日は持つだろう。そんなことを考えていれば、不意にスマホの音がなった。私のものでは無い。ということは講師のものだろう。英語で話される言葉は相槌と居場所だろうか。いえ、もう一人、と彼が口を開く。何かあっても大丈夫なようにナイフを忍ばせた。
「……もうすぐしたら迎えがきます。貴女はどうしますか? まぁ、外に出てもパニック状態でしょうし交通網はイかれてるので帰れないでしょうけど」
貴女に世界を見せてあげましょう、と口元に笑みを描いた彼を見る。信用していいのか、と見つめる。信用してください、と笑った彼にそれが信用できないのだと息を吐いた。
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