彼女は結構お茶目なところがある。偶にスネークが隠し持ったグラビアの本を読んでいたり、スネークのダンボールに入ってみたり、僕にゲームの仕方を教わったり、パソコンの使い方を教わったりしている。プログラミングは流石に無理なようで、諦めたようだけど。
娯楽代わりだとホラー映画を見ても、僕だけが怖がるばかりでスネークと二人でここをどうやって切り抜けるかを話したりする。スパイ映画はミッションインポッシブルより007派だ。しかも、初代ジェームズ・ボンド派である。好みかと思ったがそういうわけでもないらしい。
今日は休みにするつもりなのか、彼女は雑誌を広げて眺めていた。テロリストというレッテルを貼られた僕たちであるが、彼女だけが素性が知られていない。僕らが生活できるのも、彼女のおかげというわけである。まぁ、スネークの背中に乗ってるのはトレーニングの重石代わりだろうか。何の本だと思えば、政治に関する雑誌のようだ。
「ハルが珍しいね。政治の本なんて」
「貰い物だからなぁ」
「貰い物?」
「この前、買い物が終わってカフェでくつろいでたら相席になった人にもらった。政治に興味を持った方がいいって。まぁ、事実、私は時事に疎いからな」
「そうかな?そこまで疎いとは思わないけど」
「隠してるからなぁ。向こうはいらない本を処分したかった、私は勉強のきっかけにはなる、そういうことだ。ちなみに何もついていないことは確認した」
彼女はそう言って、雑誌を端に置く。
「オタコンはどう思う?」
「政治について?」
「いや、スネークの老化について」
僕は彼女の問いにはなにも答えれない。彼女の問いかけに対する答えは知っている。でも、それはスネークから言うことであって僕のから言うことじゃない。
「……ごめん、僕からは何も言えない」
「いや、いいんだ」
「ハルはどう思ってる?」
「見栄っ張りだなと思ってる」
見栄っ張り。確かにそうだ。スネークは見栄っ張りである。僕はケタケタと笑った。
「確かにそうだ」
「おい、本人の上でよくそんな話ができるな。誰が見栄っ張りだ」
「おっと、椅子の上下が止まってるぞ。カウントはまだ目標数まで行ってない。それともギブアップか?」
「まだ余裕だ」
「なら50追加しよう」
ぐ。スネークがそう言って黙り、腕立て伏せを再会する。また彼女が上下に揺れる。
「別に黙っててくれてもいい。君が言わないでいいと判断したから黙っていてくれているんだろうから」
彼女はそう告げて、またカウントに戻る。彼女は引き際が良すぎる。ドラマやアニメでは食いつくところだろうに。
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