ガシャン。そんな音がして僕らは音の方を見た。コーヒーカップを落とした彼女はこれでもかというくらい目を見開いて、スネークを見ていた。スネークがただ、不思議そうに彼女の名を呼ぶ。彼女はそれが恐ろしいもののように、後ずさる。様子がおかしい。これから任務に行くというのに。彼女にはサポートに回って貰う必要があるのだ。壁に背中がついた衝撃で彼女は我に返ったようだった。顔を片手で覆うと、「あぁ、すまない、すこし、おどろいて、片付けないと」と口ではいうが体は動いていない。
「ハル、任務前だぞ」
「違う、そうじゃない、すこし、動揺しただけだ」
 弱々しい彼女は珍しい。雨が降るんじゃないかというほど。スネークが息を吐いて、彼女に近寄る。僕は見ないふりを決める。気になるからパソコン越しにチラッとは見るけど。スネークが彼女の肩に遠慮がちに手を置く。
「ハル、どうしたんだ」
「いや、ほんとうに、なんでもないんだ、」
 そう笑った彼女は、置かれた手を外す。無理して笑っている。
「空のカップで助かった。コーヒーが服につかなくてよかったよ」
 そう言った次の瞬間には何時もの彼女に戻っていて。彼女はカップを拾い上げるとスネークを見上げた。
「さて、スネーク、準備はできたか?」
「本当に大丈夫なんだな?」
「人の心配より自分の心配をしなさい。オタコンもね」
 そう言って彼女もまた置かれた装備を身につけた。

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mokuji