小説家は模造品を評価するか(3)
「と、いうことで彼らを連れて行こうと思います」
「なーにが、と、いうことで、だ!」
とりあえずQクラスを連れて行くのに話はしておくかと団先生に言ってみる。まぁ、七海が食いついてきたけど。
「喫茶店マスターに誘われてしまいました。自称大学院生の鈴木くんが一緒ですが、まぁ、何事も経験かと思いまして。授業が無い曜日ですし」
そう両手を広げておく。団先生が、「それだけじゃないな?」と私をみながら告げた。その通りなので頷いておく。
「どうも嫌な予感がするんですよね。会合の名前が名探偵連続殺人事件ですし、登場人物になりきらないといけないらしいですし。遠山くんの叔父であるマスターも、嫌な予感がするから行きたくないと言っていましたし。まさか私を語った人物が殺人をしていくなんてことはないと思いたいんですが」
「そうだな、なかったらなかったで笑い話で済むが……」
団先生はそう言って少し考える。紫乃ちゃんが首を傾げた。
「でも、どうしてQクラスを?」
「……なり切るのは変装の訓練になるのでは?と」
「おまえ、ネタにする気だな」
七海の言葉に私はニコニコと笑みを浮かべる。別にそんな気はない。ただ、浮かんだだけである。七海は肯定ととったのか「こぉらぁ、近宮!」と言いながらプロレス技のように首を絞めてきた。特に苦しくもないので放置だが。本郷さんがそれをみて息を吐いた。
「授業の日じゃないなら勝手に行ってくればいいだろう」
「何かあった時のバックアップは大切ですから。本郷さんも来ます?」
「馬鹿は休み休み言え」
ため息をついて部屋から出た本郷さんに、連れないなぁとぼやいたら七海が力を込めた。流石に痛いので離すように叩いたが。入れ違いで真木先生がやってきて――七海がパッと手を離した。
「これだから七海は……」
「あん!?」
「ははは、仲がいいのはいいことだけど怪我はしないようにね。特に近宮さん、最近診察来てないだろう?」
「最近は調子がいいので。また近々伺いますよ」
そう断っておく。七海がやれやれというように私をみた。
「近宮、そろそろ授業の時間だろ」
時計を見れば確かにもうすぐ授業の時間である。なるほど、本郷さんはそれで席を立ったとみた。私はとりあえず団先生に頭を軽く下げて部屋を後にする。さて、Qクラスの授業は少し遅れそうである。