小説家は模造品を評価するか(4)
トリックに頭を抱えた彼らを私は頬杖をついて眺めてみる。一番に解けるのは今日はキュウくんか、はたまたリュウくんか。話もそろそろ切り出さなければならないだろう。
「そう言えば皆さん今度の日曜日のご予定空いてたりしますか?」
私の問いに彼らは顔を上げる。
「日曜日ですか?」
「いつも世話になってる喫茶店のマスターに、とある愛好会に誘われたのですが参加してみません?」
愛好会……と繰り返した彼らに、私は紙を読み上げる。
「環ナマエ作品愛好会の会合です」
「先生の作品の、ですか?」
「そうです。これに参加する人は登場人物になり切る必要があるのですが、まぁ貴方達はモデルの少年探偵団があるのでそこまで苦労はしないでしょう」
「わー、なんか楽しそうだなぁ」
キュウくんは参加する気満々だろうが他はあんまりという感じだろうか。
「さて、問題はこれを勧めてきた方は遠山くんぐらい勘が働く方でして。嫌な予感がするから参加したくないと私と私の友人に振ってきたんですよ」
ひらひらと紙を揺する。眉間にシワを寄せた彼らに私は頬杖をついて笑う。
「会合の副題は名探偵連続殺人事件。何か起こる気がしませんか?」
「殺人事件が起こる、ということですか?」
「わかりません。会合にいるのは私は会ったこともない人達でしょうし、そもそも主催の方は知らない方ですし。まぁ何もなければそれまでですし笑い話でしょう?まぁ、嫌なら別に構いません。他人へのなりきりは変装術のいい練習になるでしょうし、と思って声をかけただけなので。参加するなら日曜日の八時にここにきてください」
それだけ告げて、時計を見る。カチリ、と時計の針が所定時刻を指し――チャイムのような音がなった。