その血筋は犯罪者へと誘うか(2)



「で、なんでお前はここにいるんだ?」
 部屋に入るなり私を椅子に座らせて、仁王立ちをする七海は見るからに不服そうである。私は鞄をあさる。そうして見つけた許可証を七海にみせた。
「ちゃんと許可は取りましたよ。外出許可の」
 七海はその言葉に「退院許可じゃないだろ!」と叱ってきたが。その表情をみて、おや? と思う。怒りというかは焦りが目立つ。
「小説の担当経由でここへの招待状が届いたんですよ。青薔薇を公開します。来ないと秘密をバラしますと書かれていたのですが、どの秘密なのかと思いまして」
 私の発言に七海の瞳が揺れる。なんだ? と私は小首を傾げた。
「七海はどうしてこちらに?」
「……俺にも招待状がきた」
「となると、貴方にも秘密が?」
 そう尋ねれば「あるわけないだろ!」と叱られたが。頭をガシガシとかいて、彼は理由を口にする。
「事件が起こりそうだから来たんだよ」
「それは同意します。高校生と仲が良い指名手配犯もどきまでいますしね」
「もどき? 指名手配犯じゃないのか」
「人間、三人くらいは似てる人がいるっていうでしょう? ……それにしても、私と七海が別に同じ場所に招待されるとは」
 ふむ、と私と七海、ほかの参加者の共通点を考える。薔薇がキーワードなのは間違いない。青薔薇に魅せられるのは恐らくはこの業界にいるのなら普通だ。ほとんど全員が薔薇に関わった仕事をしているが、七海はそれにあたらない。
 そういえば、この部屋の装飾も全て薔薇が入ったものになっていた。薔薇、薔薇とそれに関することを思い浮かべる。そこでふと、七海や金田一くん、七瀬さん、遠山さんを除けば私のペンネームも含めて全員の名前に薔薇の名前が入っていることに気づいた。ローゼンクロイツは薔薇の名前が入った人を集めたかったのだろうか。となると、これはマジシャンズセレクトに近く、故意に薔薇の名前が入った人が集められた可能性が高い。となると、やはり事件が起こる可能性が高い。
 ――薔薇の事件。部屋に飾られた真っ赤な薔薇に、母親の事件が思い浮かんだ。下敷きになった白薔薇が赤いバラのように赤く濡れていたというから。今更母親の事件に関係した事件なわけがない。母親に関する事件なのであれば、呼ばれるべき人間が違う。
「……ナマエ?」
「いえ、薔薇の事件を考えて、すこし……」
 そう私が言えば、七海は私が何を考えたか理解したらしい。私の目線に合わせてかがんだ。
「お前は明日1番に戻れ」
「それが簡単にできたら、ね」
 何かを起こしたい犯人が、やすやすと羊を逃すというのだろうか。はぁ、ともう一度ため息をついた七海は「あんまりチョロチョロするな」と釘を刺して部屋を後にした。それはできかねると私の性分を知っている七海は理解しているはずだろうに。わざわざ注意をするくらい、彼は何かを察しているのだろうか。


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