その血筋は犯罪者へと誘うか(10)


 三人目は禅田みるくだったらしい。彼女が襲われているのをみたという金田一君たちの証言に、私は七海に姫抱きにされてそちらに向かう。恥ずかしいが、急いでの移動なら仕方ない。私はどうしてもノロノロと歩いてしまう。扉の前にいた遠山遙治に、金田一君が「高遠」と呼んだ。やはり、彼は高遠遙一で確定である。
 右袖がない状態で倒れていた禅田みるくに、私は月読ジゼルを見る。彼女はまたすこしおかしな詩を読むのだろうかと思えば、そうでもなく遅れてきた佐久羅京にみんなが詰め寄ったため全員で玄関ホールまで移動することになった。
 さて、誰がローゼンクロイツか。真壁君の推理は安直である。一番近い場所にいた遠山遙治こと高遠遙一が犯人であると。まあ、ぱっとみはそう考えるしかない。なぜなら部屋の中に唯一は入れるとされるその前に彼がいたからだ。
「――しかし、それは安直すぎるのでは」
 私はとりあえず口をはさむ。彼らの視線が私に向いた。手帳で口元を隠して、首を傾げた。
「ローゼンクロイツはあの完全密室のような『ゴルゴダの丘』を作り上げるような人物でしょう? 前に立っていてからといって犯人と考えるのは安直すぎるのでは……遠山さんはそう言った方には見えませんが」
 恐らく、この男はそんなミスをしでかさない。自分の計画を他者に与えることはあれど、自分でその計画は行わないだろうし、そもそもこの男には被害者と接点はない。表面的にあるのはあとは冬野さんぐらいだろうが、恐らく彼女は狙われる側なので違う。
「――赤薔薇の花言葉は、『私を射止めて』」
 月読ジゼルがつぶやくようにそう告げた。詩を詠むのだろう。
「其方を射止めし、銀の矢を放ちたるものはオリンポスの神にあらず……血に濡れた地獄の使者」
 月読ジゼルはそう言って高遠をみて問いかける。あなたは、高遠遙一さんですね、と。

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