その血筋は犯罪者へと誘うか(13)


 突き刺した杭を軸にターンテーブルのように回転した円形の絨毯。そうして作りあげられた密室。たしかに無理はない。絨毯を回転させるには労力がいるが、できる話である。そして、禅田みるくが殺害された南端の部屋に話はうつる。私はそっと父親が残した手帳に目を落とした。同じような館の構造がのっている。もし、同じであるならば、私たちは螺旋階段に方向感覚を狂わせられている。禅田みるくが殺害されたこの部屋と金田一くん達がみた場所は違う場所だ。
「もしこの部屋が、中も庭もそっくりにつくられた別の離れみたいな場所だったとしたら?」
 金田一くんの言葉に、剣持警部が扉を蹴破った。開かずの間は二つある。影から察した彼はやはり探偵の素質があるのだ。
 月読ジゼルはこの場で禅田みるくを事前に殺害、袖を奪って本来の開かずの間に向かうと禅田みるくのフリをして叫び声をあげ、金田一君たちに袖を見せた。そのまま金田一くん達にバレないように尾行し――冬野さんと合流した。
 そのまま庭に出て、少し離れて芝生に降りた月読ジゼルは振り返って金田一くんをみた。
「金田一さん、高遠が貴方を連れてきたことが、1番の誤算でした」
 彼女はそう言って庭の階段を下りた。そうして、私を睨みつける。
「そうよ、ローゼンクロイツは私」
「どうしてこんなことを」
「月読ジゼルは偽名よ。本名は、美咲ジゼル」
 その言葉に私はやはりかと目を伏せた。この事件は、助けたあの女性と叫んでいた女の子のその後に私が気にかけていれば、なんとか、できたかもしれないことだった。
「……ここは昔、私の家だったの」
 彼女は館を見渡してから、もう一度私を睨む。
「私は、あんた達四人が事故と偽って殺した美咲蓮花の娘よ」
 その言葉に周りが私に視線が向く。私は困ったような笑みを浮かべる。私がなにか言うかわりに、冬野さんが声をあげたのだけれど。
「違う、環さんは関係ないの!」
 耐えられないという風に冬野さんは叫んだ。
「それに、殺すつもりなんてなかった!」
 月読ジゼルはそれを聞いて目を見開いた。七海がかわりに「どういうことだ?」と私に問いかける。なので、私は答える。
「手違いがあって、彼女が間違えて私のタオルを持っていってしまったんです。だから、私は彼女のタオルを使った、それだけですよ」
 その時はそんなことになるなんて思ってもいませんでしたから。
 私の説明に冬野さんは頷いた。彼女には一応タオルを使ったことを説明していたからだ。剣持警部が冬野さんをみて「事情を伺っても?」と尋ねる。彼女は思い出すように口を開いた。

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