奇術師は指揮棒を誰に託すか(2)

 教員のくせに依頼人のふりをしなければならないという。団先生は許してくれたし、私も私で素で何かする気はない。猫をかぶるだけだ。ドクタードクロ特製のカラーコンタクトと皮膚カバーで左右の色を統一する。今はブラックジャックだなんてあだ名は置いていこう。普段着ないようなワンピース型の服を着て探偵学園の一室に入って待っておく。やってきたQクラスは環ナマエがいたことに驚いたのか目を瞬き――引率であろう七海もまた動きを止めた。私は少し気弱げに微笑んでおいた。
「お姉さんが環ナマエ!?」
「うっそだー、私、てっきりもっと怖い人かと……」
「あの、すいません、期待をその裏切ってしまって……」
「お前ら、依頼人を困らせるな!」
 そう叱った七海に、彼らは一言謝った。彼らが席に着いたのを確認し、私はことのあらましを説明する。それを聞いて、あの、と声をかけたのは美少年だ。
「どうして依頼を?貴方ならご自身で解けるのでは?」
 来ると思った、と内心思う。私は広げていた手帳で口元を隠し口を開く。
「あの、怒りません?」
「え?」
「私、山之内先生の遺産なんか微塵も興味ないんです。ただ、少年探偵団ものを書きたくて、でも身近にいないので、兼ねてから知人である七海さんと団さんに伝えたらそれなら是非貴方達に、と」
 そう照れたように告げれば、じゃあモデルになるってこと!?と言われたので頷いておく。顔を見合わせた彼らは何か感極まっているので首を傾げておいた。七海がごほん、と咳払いをする。
「と、いうことで、お前らには北海道に行ってもらう」
 七海の言葉に彼らはハッとしたようだったが、その姿が可愛らしく見えてクスクス笑う。あぁ、なんて純情そうな少年少女だろうか。

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