SQUELCH!!


白い魔女と黄色い勇者(5)



 詳しい話を聞こうということになり別室に向かった。鶴丸さんが端末で審神者さんに通信を繋げてくれていたからか彼も協力してくれるらしい。こんのすけにも指示を仰ぎ、私がしなければいけない段取りをくむ。
『今回は運がいい。定家本丸はそういう輩を取締る組織にある本丸の中の一つだ。偶々向こうもとちったのか』
「いや」
 三日月さんがなれない手で通信を何処かにつなげながら口を開く。
「俺たちはこういうときはよくメンテナンスが明けるまで現地にいるぞ。間違える本丸もあるが、わざと出陣させる本丸もある。だいたいが中傷重傷状態だからな、開けるまでもたない」
「それを保護してるのか」
 大包平さんの問いに三日月さんは答える。
「いや、保護までできればいいが……今回のように俺たちも酷い怪我を負う時がある。記録するに留まることも多々ある。その点でも運がいい。大包平がいなければ俺たちは記録するに留まっていた……審神者殿、端末の操作を少々教えてほしい」
「ややこしいので、ナマエでいいですよ。審神者が三、四人出てくるでしょう?」
 私の言葉に彼は驚いたように目を瞬く。蘇我さんが声を荒げた。
『はっ!?名前を名乗ったらダメだぞ!!もう遅いけど!』
「蘇我様、今更です、今更。主さまの名はこの本丸では行き届いています」
 こんのすけのつっこみに、私は苦笑いする。もうこんのすけは諦めました、と彼は息を吐いた。蘇我さんが頭を抱えているのがわかる。三日月さんはおかしそうにコロコロと笑った。
「そうか、ナマエ殿というのか」
「はい」
 うなずけば彼はカラコロと笑った。清らかな霊力をもつ、とつぶやいた彼を若干大包平さんが睨んだ。ピロン、という音が鳴り「三日月」と年を重ねた男性の声がした。三日月さんは「おお、主」と携帯端末をみる。
「主、黒をみつけたぞ」
『黒? お前が保護された本丸は多少の異常はあれど、純白に近いと聞いたが』
「違う、同じく保護された刀剣が属す本丸だ」
 三日月さんの言葉に、通信相手が「やはりあらわれたか」とつぶやいた。
『今から動こうにも、どうしたものか。普段提携している他の本丸も対応に追われているようであるし、政府もメンテナンスでてんてこ舞いだ』
 その言葉に、鶴丸さんが端末を三日月さんに向ける。
『ちわーす、定家本丸の審神者さん』
『む?』
『解析組の蘇我本丸の審神者でーす、ダブル端末越しに失礼しまーす』
 お隣の審神者さんの発言に、三日月さんが「鶴丸の主殿も協力してくれるそうだ、主」と声をかける。……身長が高いため少し頭上で交わされるやりとりである。三日月さんは私の視線に気づき、端末を少し下げる。端末の先には虫垂れ衣のようなものをつけた男性である。神主のような服装をしている。
「主、こちらがこの本丸の審神者殿だ」
『三日月達が世話になった。正直助かった』
「いえ、困ったときはお互い様なので」
『――なるほど、噂に聞くような色をしている。まるで――』
「おっと、定家本丸の審神者殿、俺の色移りだなんていったら大包平の機嫌が途端に悪くなるぞ」
『いや、そういうことを言おうとしたのではない。卯の花のようだと』
「ははは、主が困っておる」
 三日月さんはそう笑った。そうして彼は獅子王さんに端末を向けた。
「主」
『――ああ、理解した』
 そう言った彼はうなずいた。
『ここにいる審神者は協力してくれると思って良いのか』
 その言葉に、私もお隣さんもうなずくのだけども。



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