SQUELCH!!


白魔女と友達



 レモネードスタンドのような移動販売は結構な盛況であるらしい。こちらも出陣の関係があるために週末にしか行かないのであるが、結構な人が利用してくれているようだ。最初は物々交換だったりして利益を当然考えてなどなかったが、どうやらお隣さんの博多くん達に何か言われたようで材料費ぐらいは、とお金をもらっているとか。売り上げは本丸共用の貯金箱を作ってそちらに貯めることにしたらしい。私の部屋の片隅におかれた手作りの貯金箱にはちょっとずつお金が溜まっているようである。ちなみに偶に政府の役人さん達と鉢合わせるらしく、彼らもちょくちょく買いに来てくれるのだか。ありがたい話である。

「お? アンタはこの前の」
 大包平さんと和食の材料を買い込んでいるとそう声がかかった。そちらを見ると、確か長曽祢虎徹さんである。私を知るとなれば相模本丸の長曽祢虎徹だろうか。大包平さんが口を開く。
「ということは、相模のか」
「あぁ、あの時は本当に世話になった」
「いえ、当たり前のことをしたまでです」
 そう断れば彼はフッと笑ったのだが。長曽祢さーん、と駆けてきたのは知らない女の子である。同い年ぐらいだろうか。布で顔を隠した彼女は彼の隣に並んだ。
「知り合い?」
「この前助けてもらった……」
「あああ、真っ白な審神者ちゃん!」
 ぽん、と手を叩いた彼女に言い当て妙だなぁ、と思う。彼女はくるくると私と大包平さんのまわりを回ると、うむ、白い! とケラケラ笑った。
「鶴丸の色移りみたいだけど、そうじゃないんでしょ? ってことは地毛? やっぱり海外から来たの? 長曽祢が送ってきてくれた写真見たんだけど、海外みたいだね」
 矢継ぎ早である。長曽祢さんがそれを嗜めるように口を開いた。
「主」
「ああ、ごめん。あたしは相模。この前はついうっかり寝ぼけた弾みで出陣させちゃってさ、気付いた時にはもう遅し。でも、あたしもあたしの本丸の刀剣もついてるから、長曽祢達なら大丈夫! って思ってたら貴方が助けてくれたの。貴方は?」
「私はえっと……白百合です」
「白百合ちゃん!」
 そう彼女は私の両手を持った。私の家族助けてくれてありがとうね!! と言った彼女に、いえ、と私は首を左右に振った。
「当たり前のことをしただけで」
「白百合ちゃん、かわわ! でもね! 白百合ちゃん、結構それ当たり前じゃないのよね! だって、この世界、うちはうち、よそはよその人が多いからさぁ、それは当たり前じゃないよ! 役人も基本知らんぷりだしね!」
 ケラケラと笑いながら彼女は告げる。それに困った顔をしてしまう。役人は恐らく手が回っていないのだろう。長義と呼ばれた彼はだいたい疲れた顔をしているのはそういうことだ。
「まぁ、そんな話はおいといて、何かの縁だし、友達になってくれると嬉しいな!」
「それは喜んで」
 ナマエがそう少し笑みを浮かべて言えば、彼女――相模は目を瞬いて口を開く。
「わぁ、まれにみる美少じょっむぐ!」
「すまん、白百合殿、大包平、聞かなかったことにしてくれ」
 長曽祢がすぐさまにそう告げる。ナマエと大包平はとりあえず頷いておいたが。



- 45 -

*前次#


ページ: