白い魔女と本丸(5)
時間を超えるということは、狭間の世界を通るということだろうか。ならば水晶を持っていった方がいいのではないかと魔法を使って闇を祓う力を持つ水晶を作り上げる。それをあの再会のお守りに似た姿にしてしまったのは仕方ないと思うのだ。それと共にこれもまた魔法でネックスのチェーンを作り上げておいた。
「審神者様、刀剣達の準備が完了いたしました」
そう呼びにきたこんのすけに人数分のネックレスを持っておう。廊下を進み、たどり着いたのはあの街の広場に似ている。刀剣達も物珍しそうに周りを見ている。私を見つけて「おー、主」と手を振った御手杵さんに私は駆け寄った。
「お待たせしました」
そう言って揃っている六振りをみる。左文字さんがまわりをみた。
「ここ、随分と変えたんですね」
「変えた?」
「なんだ、ナマエが変えたんじゃなかったのか?」
「いえ……ここ、立ち入ったのは初めてなので……」
「前のこの場はあまりにも穢れ過ぎてしまっていたため、他の場所と同様に主様の記憶から再形成いたしました」
足元でこんのすけが告げる。
「へぇ、随分と素敵な街に住んでいたんだね」
「えぇ、まぁ」
「……なんだそれは」
私が持っていたネックレスを見て赤毛の男性――大包平さんが告げる。
「お守りのような――標のようなものです」
「標?」
「皆さまがこちらに無事に帰れるように、その道中で闇に蝕まれないように願うものですね」
そう言って彼の手のひらにそれを乗せ、他のメンバーにも乗せる。陽に合わせて水晶がキラキラと輝く。
「それは決して悪いものではないよ。本当に君たちの無事を祈ったものだ」
「標というのは?」
「私が貴方達が今何処にいるか判るようにするためのものです」
「よくわかんねぇけど、いかねぇのか」
ガシガシと頭をかいた同田貫さんに、すいません、とこんのすけをみる。彼は尻尾を揺らす。
「主様、出陣先は1600年、9月15日の午前9時。関ヶ原近くでございます」
「えっと?」
「真ん中にあります時計をその時刻に合わせてください」
こんのすけの言う通り、真ん中にはあの時計台を模したような時計があった。私はその時計を言われたように時間に合わせる。淡く光った周りに、後は主様がよく知るでしょう、とこんのすけが告げた。よく知る、となれば。私は手を見つめてからこんのすけをみる。こんのすけが頷いたため、私は淡く光る時計を見た。光の螺旋とともにキーブレードが現れる。それを掴んでそのまま時計に向けた。ふむ、やはりゲートの開け方は変わらないらしい。
「刀剣達にかす任務は遡行軍による徳川家康暗殺の阻止。任務が終わればいつも通り帰ってこれるでしょう」
キーブレードから光が放たれて、時計にあたる。あの街の鐘の音がする。それとともに扉が現れた。……どこでもドアみたいだな。同田貫さんがその扉を開ける。その瞬間、彼らを光が包んで消えた。自分が通るのは構わないが見送るのはあんまり好きではないな、と思いながら消えた先を見つめる。ハッとしたように、浦島くんがやってきた。
「主、指揮を取らなきゃ」
「えぇ、浦島虎徹の言う通りでございます。主様、こちらに」
そう言って彼はどこからともかくタブレットを取り出すのだけど。
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