SQUELCH!!


白い魔女と本丸(7)



 あの広場をもう一度見ておくかと見にいけば噴水まで増えていた。なるほど時計台の形の噴水、と眺めてから噴水の縁に座る。周りに見える建物は西洋だというのに、正面の本丸は和風で少し変わった世界になっているが。潮の香りがする。そっと目を伏せていれば、あの、と声がかかった。そちらを見ればあまり関わったことがない少年二人だ。
「隣いいですか?」
「どうぞ」
 そういえば、彼らは私の隣に座る。黒い髪の少年が私をみた。
「貴方は海の外に住んでいたんですか?」
「いえ……どうしてですか?」
「見るからに日本ではなさそうだ」
 白い髪の少年がそう答える。確かに日本ではない風景だろう。
「この街に住んだことも――行ったこともありません。でも私の大切な街には変わりません」
「住んだことも行ったこともないのに?」
「えぇ。私の記憶には確かにこの街が存在します。でも、この世界には存在しない街でしょう」
 そう言って空を見上げる。突き抜けるような青空が広がっている。そのうちに時計塔も見えるようになるのだろうか。
「私の大事な思い出で詰まった、大好きな街です」
 ふぅん、と告げた彼らもまた空を見上げた。
「でも、俺も好きだ、この街。清々しい気持ちになる」
 白い彼の言葉に、私は言葉を詰めた。
「――夜明けの街」
「夜明けの街?」
「この街の名前です。デイブレイクタウン。デイブレイクは夜明けという意味なので、日本語にすると夜明けの街です」
「へぇ、夜明けかぁ」
 黒い彼はそう言って足を伸ばした。そっと宙に手を伸ばして魔法でシーソルトアイスを作ってみる。その二つを彼らに渡した。
「今のは?」
「秘密です。でも、これはシーソルトアイス。私の好きな……冷菓子です。一ついかがですか?」
「俺たちが食べていいんですか!」
 そう告げた彼らに首をかしげる。
「貴方達の分で作ったので構いません。食べれるものです。嫌ならいいですけど……」
「いや、いやだからとかじゃなくて!」
「食べていいのか」
「はい」
 私が頷けば白い彼はそれを舐めた。美味しいとこぼした彼に、黒い彼もそれを口に含む。そして何かに感動したように、美味しい、と口を開く。私もそれをみてアイスを舐める。海の味。
「前の主とは正反対だな」
「前の審神者様と?」
「前の主は俺たちが物だから食べなくてもいいと言ってたんですよ」
「え?」
 黒い彼の言葉に私は動きを止める。ということは彼らは食事をとっていない?てっきり、長谷部さんや光忠さんが私の分を私の部屋に持ってきているだけで別の部屋で食べているかと思っていたけれど。
「えぇっ!?と、とりあえず、ご飯は食べていいので、食べましょう?」
「本当ですか!食べてみたかったんですよ!」
「光忠さん達に話してきます。お二人はそれ食べといてください」
 そう言って立ち上がる。二人は目を瞬いているが。内番に畑当番があるけれど、みせてもらった畑と消費量が釣り合っていないのはだからだろう。バタバタと忙しなく立ち上がって駆け出せば、黒い彼の声がした。
「主さーん、俺、鯰尾藤四郎って言います!白い方が骨喰藤四郎!二人とも燃えて記憶はないけれど、主さんと頑張りますよ!」
 その声に振りかえって、私はナマエです!ありがとうございます!と手を振る。振り返した彼らを他所に私は本丸に駆け上がった。



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