おてがみよめない!(呉)
「お前は海竜だったか?」
緩やかに降下してきたカイリューに魚粛がそう尋ねれば、カイリューはにっこりと笑って片手を上げた。魚粛がつれているガーディは嬉しそうに尻尾をふっている。もうすっかりと呉の一員となったのか、小さな飾りをつけたガーディ――彩霞と名付けられた――の隣にいた陸遜が首を傾げる。
「海……竜……?」
竜というには全く威厳のかけらもない。どちらかというと大人しく温和そうである。視線があった陸遜にまで挨拶をした。
「あぁ、なんでも海の何処に住んでいて、迷った船を陸地にまで案内してくれるらしい」
「ふむ? こちらの竜とはまた少し違うのですね」
「あぁ、それがなかなか面白い。しかし、海竜、お前の主人はどうした? 見当たらないが」
魚粛の問いかけに彩霞はがさごそと手提げ鞄から手紙を取り出して魚粛に渡す。なんだ? と首を傾げたが魚粛が手紙をみれば、子供の字で魚粛殿とかかれていた。正しくは魚粛の粛という文字がかなり崩れてしまっているが、書こうと努力したことはわかる。カイリューは手を振ると、少し離れてまた空に舞い上がった。
「……それを魚粛殿に届けに?」
「そうらしい」
中から紙を取り出せば、ふわりと香ったのは花のような香りだ。
「何かの模様ですか?」
「いや、ケイファの世界の文字だ」
「魚粛殿は読めるんです?」
「俺はまだ全く読めん」
ははは、と魚粛は豪快に笑う。まぁ、カイリューの様子からして急ぎではないのだろうと判断はできるが。
「今日と明日は暇をもらえたわけだ、様子でも見に行ってみるか」
魚粛がそう言って陸遜をみる。陸遜は目を瞬いて、私もですか!? と声を上げたのだが。
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