ふゆのじゅんび(2)



 机の上に並ぶものは陸遜にとってはあまり馴染みのない料理である。ケイファにとってはどれも馴染みがあるもので、豆がたっぷり入ったミネストローネやふっくらとしたパン、きのみのジュースやオムレツが並んでいる。言ってくれたらもっと豪華にしたのに〜とはケイファの台詞であるが、まぁ仕方ないだろう。
 いただきます、と言ったケイファに魚粛も同じようにつげる。陸遜も同じくいただきますといえば、ケイファは召し上がれ! と笑った。パンをちぎったケイファは口を開く。

「あのね、冬の支度をそろそろ始めないと冬に間に合わない気がして、準備しようとしたらね、毎年近所の集落から大人が来てくれる作業があること思い出して……」
「ふむ?」
「設計図あるから自分達でできるかなっておもったら、みんなにダメって言われたから手伝って欲しくって」
「設計図ということは何かを作るのか?」
「くさタイプのポケモンとか寒いのが苦手なポケモンは冬の間暖かく過ごす小屋みたいなの」

 ケイファはそう言って席を離れると、別の場所においてある設計図を取り出す。なにやら建物の建て方のようなものは書かれているが、文字はやはり見慣れないものだ。

「ケイファの世界の文字は難しいですね」
「えー? そうかなぁ。ギョシュクさんやリクソンさんの世界の文字の方がわかんないよ。なんか色々聞いたけど、なんでその形になるかわかんなかったもん」
「ケイファの世界の文字の形はどうしてこうなったんだ?」
「うーん、なんかねー、文字の形をしたポケモンがいるんだけど、文字が先かそのポケモンが先かっていう話がずっとされてるってきいたことはあるよ」
「文字の形をしたぽけもん?」
「うん、山の麓にある神様の祠にいくとね、たまにいたりする。不思議な力を持ってて、ケイファがもうちょっとちっちゃい頃、西の山にいるお父さんとお母さんに会わせてくれたことがあるよ」

 その言葉に陸遜は西の山? と首をかしげ、魚粛は納得した。この年齢の子供ならば、親の話が出てもおかしくはないというのに兄という単語しか出てこないからだ。恐らくはそうだろうとは三人の暗黙の認識であったのだが。

「文字の話はおいといて、とりあえずね、場所をきめてね、土を均して、木を切ってその建物を建てたいんだけど、勝手に木を切っていいかわかんないし、大人がいないと危ないし」
「それならかなり人手がいるのでは?」

 設計図を見る限り結構な広さだとは理解できる。普通ならばこう言ったものを作るのであれば、人手はかなりいるだろう。木を切るにしろ、運ぶにしろ、だ。

「木を切ったりね、地面をならしたり、組み立てたりはポケモン達が手伝ってくれるよ。指揮とかはね、ケイファでもできるとは思うんだけど、大きな木材を運んだりするのが危ないから」

 ケイファの言葉に陸遜は彩霞をみる。先程のポケモンや彩霞が木を切ったりするのがいまいち結びつかなかった。まぁ、翌日、さまざまなポケモンを見てなるほどと理解するのであるが。



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