たてものつくろう(2)




「こんにちは、魚粛殿と……陸遜殿?」
「おお、徐庶殿か。ん? 蜀は大勢だな」

 昼を過ぎた頃である。やってきた徐庶に魚粛はそう笑った。徐庶だけでなく、龐統や月英、馬岱と言った面々がいる。彩霞が吠えて尻尾をふれば、馬岱は彩霞を見て「小虎?」と首をかしげて屈んだ。虎というよりは犬のようではあるが。
 徐庶殿も書状をもらって? と魚粛が聞けば、ええ、と頷いた徐庶は、出来上がりつつある土台をみた。

「えっと、ケイファは結局冬支度でなにを作ろうと?」
「どうやら草属性のぽけもんが冬に弱いらしくてな、冬を越すためのぽけもん用の家のようなものを作りたいらしい」
「なるほど……流石に建物を建てるのは一人では無理か」
「いや、ケイファが設計図をよくみずに何となくで進めようとしてなぁ。俺たちはケイファの文字がわからないからケイファに読んでもらって陸遜がいま注釈をつけているところだ」
 土台まではできたんだが。

 そう言って魚粛は外の机で設計図をみているケイファと陸遜をみた。徐庶も追ってそちらをみれば、ケイファとマルが陸遜とモグリューと何かをみていて、こちらに気づきそうもない。まぁ、徐庶にくっついていた飛竜がケイファを見つけて飛んで行ったことで気づいたようだが。手を大きく振ったケイファは飛竜と一緒にかけてきた。陸遜とモグリューもそれを追ってきたが。

「わ! たくさん人がいる!」
「ケイファ、こちらは馬岱殿、士元と月英殿だ」
「こんにちは! ケイファです! この子はモクローのマル!」

 そう言ってケイファはマルを見せる。マルは羽を上げて挨拶をした。よろしくね〜と屈んだ馬岱に、ケイファもマルも握手をした。

「また大所帯ですね」
「劉備殿が心配してね」
「はい、大人の知り合いを増やした方がいいだろうという配慮の元です」
「まー、なににせよ冬の支度をするのであれば人手は必要だしね」
「それもそうだ。陸遜、設計図の注釈は書けたか?」
「なんとか」

 そう言って陸遜が設計図を開く。それを大人全員で見る形になったため、当然ケイファは見えないので背伸びをしていれば、ひょいと徐庶に抱き上げられた。おお、徐兄は力持ち、と言ってケイファは設計図を見下ろす。陸遜が細かく注釈を入れているため、ケイファにとっても不思議なものになっている。

「興味深いですね。私達の世界の建物とは少し違います」

 月英が設計図を見ながら言えば陸遜が頷いた。

「はい、私もそう思います。材料の一部は別の場所に置いてあるそうですが、木材などは調達するようですね。最後に取り付けるようです」
「木材の調達はどうするんだい?」

 徐庶の言葉にケイファは口を開いた。

「木材の調達は、木を切るポケモンと運ぶポケモンと固定するポケモンとたくさんの木を一気に運べるバンバドロがいたらなんとかなるよ」
「バンバドロ?」
「おっきな馬だよ。あそこで泥浴びしてる」

 そう言ってケイファはバンバドロのいる方を見た。確かに馬が泥地で遊んでいるのが見える。おーい、バンバドローとケイファが呼べばその馬は気がついたのかこちらに近づいてくる。近づいてくるたびにわかる。普通の馬の大きさではない。

「え、おっきくない?」
「バンバドロはおっきいよ!」

 のしのしとゆったりとした足取りでやってきたバンバドロを六人は見上げた。大きい。人間の身長を軽々と超えている。バンバドロはどうかしたのかというようにケイファに顔を近づけたのでケイファはバンバドロの頭をワシワシと撫でた。気持ちよさそうにしているバンバドロをみて、龐統が口を開く。

「おやまぁ、こんなに大きな馬ははじめてみたよ」
「ホント。おとなしいね、俺も撫でていい?」

 馬岱の言葉にバンバドロは馬岱に顔を向ける。ワシワシと馬が気にいる場所を撫でれば、もっともっとというように顔を擦り付けたが。月英がバンバドロの足元を見て口を開く。

「足に泥がついてますね」
「本当ですね、落とさなくてよいのですか?」
「これで足元を安定させて、悪路も歩けるようになってるし、バンバドロが鼻先で自分でつけるんだよ。ドロバンコの頃から練習してるんだ〜」
「ドロバンコ?」
「バンバドロに進化する前の姿だよ」
「進化? 仔馬ってこと?」

 そう首を傾げた周りにケイファは目を瞬く。

「徐兄の世界の動物は進化しないの?」
「進化?」
「えっと姿が変わったりするやつ」
「大きくなるんじゃなくてか?」
「違うよ! おっきくもなるけど……えっ、進化しないの!?」

 ケイファはそう言って徐庶達をみる。進化とは? と首を傾げている周りにケイファはまた驚いた。ええっと困惑したような声を出せば、彼らは首を傾げたのだが。プギ! と声がして足元を見れば、仔馬のようなポケモンが三匹いる。

「この子達がドロバンコ。右がドロコ、左がバンコ、真ん中が一昨日卵からかえったばっかりでまた名前はつけてないよ。進化するとバンバドロになるし、こう見えて一式で大人五人くらい乗った荷車を引っ張れる」
「えっ!?」
「バンバドロになると、大人百人以上乗ってても荷車を引っ張れるよ」
「一匹で、ですか?」
「うん。だから、木を切る時はバンバドロにたくさん運んでもらうんだ〜。木を切るのもポケモンが切ってくれから、人間はどの木を切っていいか指示したりするんだよ」
「ぐお?」

 尋ねるように鳴いたバンバドロに、ケイファは「そうだよ、チョウサ兄たちいないからもう冬の準備していこうと思って」と言えば、納得したように鳴いて、のしのしと何処かに向かった。それを見て三匹のドロバンコもまたそれを追いかけるようにかけていった。



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