やくそくしよう!
「カクカさん絶対強くなる気がする!」
はー、とケイファは目を輝かせて郭嘉を見上げた。真冬の建物から外に出るとじゃあ腕試し! とケイファは早速郭嘉に勝負を挑んでみたのだ。もちろん、しきたりに従って相性はケイファの方が悪いポケモンで同じぐらいのレベルに合わせて、なのだが。
「ケイファの方が相性が悪いのでは?」
「ケイファの世界の最初の勝負のしきたりだよ。同じくらいのレベルで、相性が悪いポケモンで戦うんだけど、それでも負けちゃう人は負けちゃうから」
「そうなのですか?」
「うん。だって、ケイファの方がバトルに慣れてるんだから当たり前に指示がうまいでしょ? だから相性の悪いポケモンでそれを相殺するんだよって聞いたことある。ケイファの中で目安があって、ケイファが勝ったらとにかく頑張れってなるし、僅差ならこれからの努力次第かなってなるし、今回みたいなのだと、強くなる人ってわかる」
うむうむとケイファがいえば、ロコンの相手をしていたツタージャが同じように頷いた。
「負けたから、約束通り香水調合セットもってくるから待ってて!」
「たーじゃ!」
「ん? ツタージャちゃん、どうしたの?」
そうケイファが問いかければ、ツタージャは身振り手振りで何かを示す。腕につける何かを示しているような姿に、ケイファはなるほど! と手を叩いた。
「デバイスか!」
「たじゃ!」
「それも、えーと……今ポケモン連れてるのは五人だから……とりあえず、三つ持ってきて、今度リクソンさんとギョシュクさんに渡しに行こう!」
そう言ってケイファはパタパタと住居に入っていく。その背を見送って残された面々は首を傾げた。
「でばいす……? また知らない言葉が出てきたね」
「はい、ポケモン殿の名前ではなさそうですが……」
しばらくすると、ケイファがマルやツタージャ達とカゴに何かをたくさん詰め込んで戻ってきた。机の上に、香水の元にする原液や可愛らしい瓶や陶器の瓶などを並べえわれば、籠の中には三つのモンスターボールと腕時計のようなものが残る。
「カクカさんと、コータツさんと徐兄手を出して〜」
ケイファの言葉に首を傾げて三人が手を出せば、ケイファはとりあえず徐庶の手首に腕時計型のデバイスをつける。そして残りの二人にもデバイスをつけた。
「これは?」
「これがデバイスだよ」
「でばいす……何に使うものですか?」
「色々できるよ」
色々? と徐庶は首を傾げた。触ってみたり、掲げてみたりしたが、何の反応もしない。
「そのままだと起動しないから、ポケモンの力を借りるんだよ」
そう言ってケイファはボールを投げた。現れた高速で動くオレンジ色の何かに、満寵はそれを目で追いながら口を開く。
「これは?」
「ロトム! でんきタイプのポケモンだよ」
ケイファはもう二匹ロトムをだすと、ロトムお願い〜と呼びかけた。すると、ロトムは腕時計に似たものに向かって飛び込むと、ぱちッという小さな音と眩しい光を立てて消える。
「いったいなにが」
「こんにちはロト〜」
「コンニチハろと!」
「こんにちは、ロト!」
そう声を上げたロトムに、は? と七人はデバイスをみた。ケイファは驚いている周りをみてケラケラ笑いながら口を開いた。
「ロトムはね、入る機械によってはこうやって人とお喋りできるんだよ」
「へぇー! 凄いなぁ!」
「このデバイスはね、ポケモンの体調をチェックしたり、ずかんでポケモンのじょうほうをみたり、同じデバイスを持ってる離れた相手とお話しできたりするよ」
ケイファの説明をきけど、あまり周りは理解していないらしい。それもそうだ。荀攸達の時代には存在しない。首を傾げた彼らにケイファは自分用にもっているデバイスを持ってきた。そして三人の連絡先を共有すると、ここにいるように告げてケイファは姿が見えない場所までかけて行った。しばらくすれば、徐庶のデバイスが音を立てる。うわっと肩を跳ねさせた徐庶と荀攸に、デバイスに入ったロトムがこえをかける。
「ケイファから連絡ロト!」
「ええっと……?」
「いいから、画面を触るロト!」
「がめん……?」
そう首をかしげる面々に、徐庶にくっついたままのビブラーバ――飛竜が、つん、と画面に触れた。その瞬間、ホログラムに宙に映像が見える。そこには小さなケイファと恐らく小屋の中だと思われる景色が動いていた。
「やほー、徐兄! 見える?」
「え? え??」
「どうなってるの? コレ」
そう馬岱は画面の中にいるケイファをつつく。指はケイファを通り抜けてすり抜けるだけだ。触れないよ、映像だから! とケイファはいうが恐らく意味はわかっていない。
満寵がガシリと徐庶の腕を掴む。
「これは興味深い!」
「見たところ、小屋にいるみたいだけれど、そこから連絡を?」
郭嘉が同じく画面を覗き込んだ。
「そうだよー! コレを使えば、離れたところにいる人ともお話しできるんだぁ!」
ケイファにとっては当たり前の技術である。しかし、周りには違いすぎた。ポケモンも厄介だが、恐らくこの技術が厄介すぎる。伝令も書簡もなしで、状況を報告できる。便利すぎる。通信が切れて、ケイファが走って戻ってくると荀攸は首を左右に振った。
「ケイファ、これはいけません。俺たちには……」
「? どうして?」
ケイファは不思議そうに見上げる。徐庶が口を開く。
「悪いことに使ってしまうかもしれない」
「みんな、悪いことをするようには見えないけどなぁ。悪い人だと、根こそぎポケモンを盗もうとしたり、嫌なことしてくるよ」
ケイファの言葉に、その場にいる面々は何とも言えない顔をした。ケイファにとって、多くの大人は信頼できる人だ。それでも、信頼できる人できない人の見分けはつくし、直感でわかる。危ない人であれば、ポケモンたちもとめる。悪いことなんてしないでしょ? と首を傾げたケイファに、郭嘉はケイファの目線に合わせて口を開く。
「私たちは随分と貴方の信頼をおかれているみたいだね。わかった、これはありがたくいただこう」
「郭嘉殿」
「ただし、いくつか約束してほしいんだ」
「約束?」
「見たらわかるように、私たちは服の色が違うだろう? 住んでいる国……場所が違うんだ」
「それは聞いたよ、ギと、ショクと、ゴ、でしょ?」
「そう。今は落ち着いているんだけれど、争うこともある。そうすれば、これはケイファが思わない間に悪いことに使われるかもしれない。この、でばいすの数が争いの勝ち負けに影響してくることだってあるんだ」
ケイファはその言葉にふむふむと頷く。
「だから、ケイファ、このデバイスを渡す時は三つの国の個数が等しくなるように渡してほしいんだ。私たちも悪用しないようには努力はしよう」
郭嘉の言葉に、ケイファはわかった! と頷いた。
「じゃあ、呉にも二つ渡すから、徐兄のところにも二つ渡さないとね! でも、変だね、みんなのところにはポケモン勝負がないんでしょ? どうやって争うの?」
「……それは」
ケイファは心底不思議に思ったのだろう。ケイファの問いかけに、周りは言葉を詰めた。殺し合いなどとは言えない。
「そうだ! やっぱりさぁ、みんながポケモンもって、ポケモン勝負で決着をつけようよ! 仲直りの握手をして、おしまい!」
ケイファはそう言ってケラケラ笑った。荀ケが「そうですね、それが一番です」と目を伏せたが。郭嘉は立ち上がると、頷いた。
「国対抗でのポケモン勝負は単純に面白そうだね」
「でしょ! ケイファ的には、国ごとに色々ルール決めたら面白いと思う! 旗取りしたりとか、さっきみたいなルールとか! でも、そうするにはポケモンの数も一緒にしないとね! 岱兄はドロバンコちゃん達と仲良しだから、ドロバンコちゃんと一緒に帰る?」
「うーん、俺じゃない方がいい気もするんだけど……」
馬岱はそう困った顔をする。軍師が持っているのであれば、軍師たちに先に持たせた方がよさそうではある。ケイファは首を傾げたが。
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