荀攸とココガラ



「公達殿、その鳥は一体……」

 荀攸の肩に止まっているのは見慣れない鳥である。青色、赤い目をした鳥は声をかけた荀ケをじっとみた。荀攸はその言葉に、あぁ、と口を開く。

「……色々あり、例の子供から育ててみてほしいといわれ……ココガラというそうです」
「確かに見たことがない鳥ですね」

 荀攸が腕を伸ばせば、ココガラは、とっとっと、と器用に肩から腕を移動して荀ケをみあげて不思議そうに首を傾げた。荀攸が「文若殿です」とココガラに言えば敵ではないと理解したのかまたとっとっとっと肩のあたりに戻っていった。

「名前はつけたのですか?」
「……一応は簡素に靛と」
「靛ですか。良い名前です……触っても?」

 荀ケは荀攸に尋ねたのであるが、ココガラがいいと言う風に囀る。

「いいそうです」
「……人の言葉を理解するのですか?」
「俺もしばらく観察していましたが、理解しているように感じます」
 荀攸がこの辺りが好きなようですと言って、嘴の下あたりを指で撫でれば気持ちよさそうに目を細めた。同じように荀ケが撫でれば目を細めている。

「思ったよりも硬い毛なのですね」
「はい」
「荀攸、荀ケ?」

 そう声がかかり二人はそちらを見る。曹操である。立ち話か、と声をかけた曹操に二人は一礼した。ココガラはそれをみて首をかしげる。

「珍しい鳥だな」
「ご報告にあげた例の子供が連れている鳥です」

 荀攸の言葉に「例の国境のか」と曹操は納得した。どうやら荀攸は曹操に一応報告をしていたらしい。

「付け加えるのであれば、昨日は呉より魚粛殿がやってきていました」
「ふむ……あのあたりでの人間同士の諍いはあのあたりはなくなりそうだな。困った場所に現れたものだ」
「そうですね。否定はできかねます」
「今この世界では蜀や呉よりも織田や妖魔の方が脅威にも思えます。対織田に集中できると考えた方がよいのでは?」

 荀ケの言葉に、曹操はそうだなと肯定をした。妖魔軍の動きが少しずつ活発になっているのだ。人間同士で歪み合うことに兵力を割くより対妖魔に兵力をさいた方がいい。

「しかし、一度は行ってみたいものだな」
「子供は拒みませんが、万が一のことがありますので、もう少しお待ちください」

 荀攸が一礼すれば、それに合わせてココガラも真似するように頭を下げるような動きをした。それをみて、曹操はふと笑い、荀ケもクスリと笑うのだが。


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