ふゆのじゅんびをしよう



「うーん、参った」

 そう言ってケイファは手元にある設計図を見つめて困った顔をした。少しずつ朝の空気に冷たさが混ざるようになっている。ぼうっとしていれば、すぐに木枯らしが吹き冬になるだろう。今回は隣の集落から来てくれる兄の友人もいないので、一人とポケモンで冬支度をしなければならない。この世界で雪がどれくらい積もるのかもよくわからないが、寒さに弱いくさタイプのポケモンや他のポケモン達の冬用の温室のようなものを組み立てる必要があるのだ。これだけは毎年大変だろうとやってくる大人と組み立てている。父親が残した設計図を眺めてみたが、よくわからないそれである。
 モクローのマルも覗き込んで考えるそぶりをみせた。うーん、と考えて、「……できるとこまでやってみる?」とケイファが問いかければ、ポケモン達は顔を見合わせて、困った顔をしたり首を左右に振った。ウーラオスとルカリオにいたっては、バツ印をつくった。だよねー、とケイファは設計図をみる。机や椅子などの必要な家具を作るのとはまた違うのである。

「コータツさん達にお願いするしかないかなぁ、でも、忙しそうだしなぁ……うーん、暇な時は来てねってお手紙書こう」

 ケイファはそう言って家に戻ると箪笥の中からペンと便箋セットを取り出す。あとは作ったドレティアの香油が入った小瓶を持って元の場所に戻った。机の上にそれらをおき、ケイファは手紙を書きはじめた。

「もうすぐ冬の支度を色々します。子供だけではどうにもならないことがあります。お暇な時でいいのでお手伝いお願いします。お礼はします……」

 簡単な短い文章である。つらつらと書いて、紙にドレティアの香油を一滴染み込ませて封筒にいれる。そして宛先を書きかけたところでケイファは「あ!」と声を出してとまった。

「コータツさん達難しい文字だった。まぁいっか、宛名だけそうしよ」

 ここに誰かいたらそれはいけないと言うだろうが、そう言う話ではない。家の中からピカチュウがもってきた手本をもとにケイファはなんとか宛名を書く。あとは手紙の色を変えて二通かくだけだ。そうこうしているとカイリューがお気に入りの鞄を持ってやってきて、ケイファはいつものように手渡す。カイリューは手紙をカバンに入れるとぐおんと鳴き声をあげて空を舞った。それを見送ってから、ケイファはカイリューの郵便屋さんはいないと気づいたのが時すでに遅しというわけである。ま、カイリュー強いし大丈夫か、といったケイファにルカリオがやれやれといきをはいた。


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