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知り合いですとも
本日の部活はサボりました。気分が乗りませんでした。家に帰る気にもなれず、あたりを歩いていれば知っているような人に出会いました。彼も彼で私を見て目を見開きます。年の関係で言えば、兄の方が近いので兄の関係者かもしれません。
「あなたは、」
「どうしたんだよ、明智警視――たか、とお?」
近くから現れたのは金田一くんでした。しかし、彼はどうみても私と年が近いのです。年下ではありません。彼は私を見て目を見開くと、私の手をハッとしたように確保しました。明智警視も私の手を確保します。そのまま近くの喫茶店に拉致されてしまいました。なんだろう、この気分。複雑です。
目の前にあるのはアイスミルクティーです。左側は窓ガラス、右側は金田一くん、目の前には明智警視がいますが、彼らは戸惑っているようでした。恐らく、兄の知り合いなのでしょう。私の知る二人ならば、私が女だと知っているので戸惑いません。
「はじめまして、ですかね。私は近宮遥、といいます」
そう名乗れば、明智警視はやはりという顔をし、金田一くんはきょとんとした顔をしました。
「やはり、貴方は高遠の妹ですね」
「やはり兄の知り合いですか」
「高遠の妹!? 確かに高遠そっくりだけど……」
「似てます? まぁ、父も母も同じ人ですし」
「近宮さんは、今は……その制服は浪漫学園ですね」
「兄が通いなさいと。秀英に行こうかと思ったのですが、全力で止められました」
そう言ってアイスミルクティーを一口、口に含みます。
「明智警視、ということは警察の方ですね」
「ええ」
「どうして警察は私の言葉を否としたんですか?」
ずっと疑問だったことです。私の言葉に二人はうっすら目を開いた。
「どうして母も私も事故で済まされたんですか」
「それって、」
「母が転落したあの時、私も母も、あの人達に追い詰められました。結果母は落下し、私は母の手を取りましたが、まさに崖に捕まっている状態でした。私は彼らに助けを求めました。しかし、彼らは逃げました」
「っ」
「結果、私の腕の力が耐えられず、母も私も落下しました。私だけが生き残り、母は死んだ。目覚めた時にはあなた方警察は事故だと。私がいくら証言しても、事故だと断定し聞き入れなかった」
目線を氷に落とします。フツフツと湧き上がるのは怒りだけではありません。
「あれは、事故じゃなかった」
俯いた私に、二人は困惑したようでした。しかし、私は今湧き上がるそれを耐えるのに必死です。どうして、警察は。目覚めなかった私が悪いのでしょうか。それとも、多数決的なそれでしょうか。納得いきません。
「妹が知らない男性に連れられていると思いきや、貴方達でしたか。明智警視、金田一くん」
ふと、聞こえてきた声に顔を上げれば、兄がいました。兄を見て二人は目を見開きます。兄は明智警視の隣に座ると、「妹を虐めないでいただきたい」と口を開きます。
「高遠、貴方は……」
「起こしませんよ。私は今、真の妹の世話を焼くのに精一杯なんです。残念ながら」
まぁ、これで妹も死んでいれば違ったでしょうね。
そう告げた兄は斜めの席から私の手をするりととります。そして、落ち着かせるように私の手を撫でた彼に顔が再度俯きました。
「まぁ、私は明智警視が裏で捜査しているだろうと踏んでいるわけですが?」
「ええ、捜査は進んでいるんですが……」
「はやく捕まえた方がいいですよ。私達ではない誰かが、起こす可能性だってある。妹の精神状態にも悪影響ですし」
チラリ、と金田一くんと明智警視の視線がこちらに向きました。
「近宮さん、何があっても、絶対に人だけは殺しちゃいけない」
「……何故妹が人を殺す前提で言うんですか。そこのところ詳しくお願いします」
「だって、お前と雰囲気似てるじゃん」
金田一くんの言葉に兄が息を吐きました。妹は人殺しにさせませんよ、という兄の発言、そして、それに対する「『は』という部分が気になりますね」という明智警視の言葉をよそに、店内を眺めます。そこで、みしった顔を発見しました。
奥のテーブルで野崎くんと千代さんが全力で手を振っているのがおかしく、少し笑って振り返せば、周りの視線もそちらに向きます。
「……お友達ですか?」
「はい」
そんな会話をしてみれば、ちょこちょこと千代さんがやってきました。
「遥さん、こんなところで会うなんて偶然だねー! 部活は?」
「サボりました。気分が乗りませんでした。千代さんは野崎くんとデートですか?」
「デ、デートじゃなくて! 都さんと、野崎くんとお茶会っていうか、なんていうか!!」
アワアワと焦る千代さんにふふっと笑えば視線がこちらに向きました。
「えっと、遥さんは?」
「兄と、兄の知り合いの方とお茶会ですかね」
そう告げれば千代さんは首をかしげました。兄がそれを見て口を開きます。
「妹がいつもお世話になっています」
「い、いえ、そんな!」
「千代さんはどちらかに?」
「あ、ケーキ見に行くの!」
「遥も一緒に行ってきてはどうです? 明智警視が奢ってくれるそうですよ」
「あ、じゃあいってきます」
そう言って千代さんとケーキを見に行きます。明智警視からGOサインは出ていませんが、明智警視もしくは兄がおごってくれるでしょう。暫く三人からの視線が向いたが、無視します。
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