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呪いを解きましょう-2-



「種明かしも何も、お前がころしたんだろう!」

 そう吠えるように告げた陣内さんに肩をすくめます。慌てたように堀先輩と遊さん、そして男性が入ってくるのが見えました。男性は高宮さんでしょうか。この速さは恐らく帰りは車でしょう。

「私は殺していませんよ」
「何を根拠に」
「根拠、ですか。証拠もありますし――根拠らしい根拠と言えば、友人や先輩に『近宮ならもっとうまくやる』と言われることですかね」
「他に犯人がいるってこと?」

 そう首を傾げて恐る恐る質問したスクワードさんに首を振ります。

「もう犯人はいませんね」
「は?」
「いえ、正しくは犯人たちはもう皆死んでいるんですよ」

 私の発言に、周りが固まりました。千代さんが代表するようにどういうこと? と首を傾げます。

「――三角関係か?」

 そう首を傾げた野崎くんに兄が「的をえていますね」といいます。

「山ノ内さんを殺したのは蘭堂さんで、蘭堂さんを殺したのは花森さん、花森さんを殺したのは山ノ内さんってこと?」
「でも、花森さんをどうやって死んでいる山ノ内さんが殺したんです?」

 千代さんに続いて疑問を述べたのは井上さんだ。私はちらりと遊さんを見ました。

「あ! このためか!」
「おー、そういうことか」
「何二人で納得してるのよ」
「遥に頼まれて、そのコーヒー豆が売っている店に行ってきました。今日の朝、たしかに山ノ内さんが購入しに来ていたみたいです!」
「でも既製品なら何か混入することは無理じゃないの?」

 吉岡さんの問には堀先輩が口を開きます。

「『オリジナルブレンドをたのむ』って言ったらその場でブレンドしてくれるらしい。花森さんは何時もその『オリジナルブレンド』を付き人かプロデューサーに買わせてたって聞いたぜ。そうだろ? 付き人さん」
「ええ、いつも、花森さんはドライフルーツのフレーバーを足してるんです。ドライフルーツは別に購入して持っていっているので……たしかにあのお店は渡せば混ぜてくれるんです」

 付き人さんがそううなずきました。

「これで花森さんは山ノ内さんが『殺した』ことをご理解いただけましたか?」
「――じゃあ、蘭堂さんは? アンタが細工したんだろ?」

 そう首を傾げた千葉さんに答えたのは明智警視です。

「その答えはノーです。あなた方には『近宮さんはまだテレビ局内にいるでしょう』といいましたが、実際は彼女はここにいませんでした。この建物の外、繁華街の方にいたんですよ」
「私がそこにいたというアリバイは一緒にいた火祀先輩と堀先輩だけでなく、繁華街の監視カメラが証明してくれますよ」
「犯人は蘭堂さんの手錠にどうして細工ができたんだ?」

 そう首を傾げた陣内さんには兄が答えました。

「あの手錠はマジシャンがよく使うものですよ。しかし、手錠だけなら助け出せましたが、恐らく水槽の方にも細工が有るはずです」
「花森さんは蘭堂さんのそれを知らないはずじゃないのか?」
「いいえ、彼は蘭堂さんのあのマジックのトリックを知っていた。違いますか?」

 兄はそう言って付き人さんを見ました。付き人さんは目をそらします。しばらくの沈黙の後、彼は意を決したように口を開きました。

「はい、たしかにあのマジックは花森さんは種をしっていました」
「どういうこと?」
「あのマジックは、花森さんが考えたもので彼女に教えたものなんです。恋人だった時に教えたそれで最初は参考にするだけだって――」

 付き人さんの発言だけでは弱いでしょう。とおもっていれば明智警視が息を吐いて「やれやれ」と口を開きました。

「あの時点で蘭堂さんを殺害できたのは花森さんだけです。監視カメラにも不自然な場所がありましたから」
「ふふ、フォローありがとうございます。明智警視。彼は恐らく、私が本気で殺人を犯したとおもっていたんでしょう。そして、私がこのテレビ局内にいると聞いてチャンスだと思い、慌てて実行したんでしょう」
「なら、山ノ内さんの殺害は? 蘭堂さんだって言うのかい?」

 スクワードさんがそう言って首を傾げます。千葉さんが同じくうなずきます。――なんだか仲がいいですね。

「だってあそこは完璧な密室だったじゃないか。近宮さんしか無理だよ、逃げ場がない」
「いいえ、違いますよ。しかし、個々での証明は難しいので場所を移動しましょうか」



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