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送り先間違えてます




 兄と食事して帰れば、一通の郵便物(一通と表現すればいいのかはわかりませんが)が入っていました。私宛でした。二人で顔を見合わせ、家に持ってはいり、リビングで開封します。
 包みの中には箱と封筒がありました。ふってみればカラカラと音がなります。開けようにも何かが引っかかり開きません。封筒を先に開ければ数枚のチケットが入っていました。列車のチケットです。

「まさか」

 兄がそうハッとして箱を開けました。中には捩れたマリオネットが入っていました。底には、来る7月28日北海道死骨ヶ原湿原を通る列車「銀流星」に魔法をかけた、と書かれていました。

「……送り先間違えてませんか」

 そう呟けば、兄は私を見てきょとんとしました。チケットはご丁寧に六枚です。大判振る舞い。やったね、というべきなのか、否なのか。

「これは、どうすべきなのか」
「遥はそのチケットで行きなさい。僕は金田一くんや明智警視なんかを誘って行きます。念のためです」

 そう言って兄は捩れたマリオネットと箱を没取しチケットの入った封筒も没取。チケットに念のため何か付着していないかを探った後チケットだけ私に渡しました。ふむ。



「というわけで、血濡れたマジックショーでもいいよ、という方は一緒に行きませんか」

本日朝一に出会った堀先輩と遊さんに声をかけてみます。

「血濡れた……」
「マジックショー?」

 チケットを二人に見せれば、二人はチケットを覗き込みました。

「寝台列車、北海道か。魔術列車って、有名な奴じゃねーか」
「わー! いくいくー! この辺り部活休みですよね!」
「ああ。でも、血濡れたマジックショーって?」
「犯行予告が来てるんですよね。殺人の」
「は?」

 さらりと告げれば二人は固まりました。当たり前の反応でしょう。

「というか、私に犯行予告とチケットが送られてきまして。まぁ、事件は兄と警察に任せて、事件が起きるまでは普通の旅行ですし。六枚貰ったのでどうしようかと」
 兄と明智警視、金田一くんや七瀬さん、剣持警部なんかは別にチケットをとったそうですし。

 さらりと言えば、堀先輩からなんとも言えない視線をいただいた。

「……お前な。事件に巻き込まれる探偵か」
「いえ、探偵は金田一くんですよ。彼は金田一耕助の孫ですから」
「警視と警部ってことは警察の人だよね。行くいく!」
「おい」
「だって、警察がいるなら大丈夫じゃないですか?」
「最悪、悲鳴が聞こえても寄り付かなければ平和です。堀先輩はどうします?」
「しゃーねーな。お前ら二人で行かすわけにもいかないだろ」
「やった!」
「後三枚どうしましょう。野崎くんと千代さんあたり誘いますか。若松くんは汚れてはいけないピュアなので連れて行けませんが、御子柴くんあたりですかね」
「だね」

 ニコリ、と笑った遊さんに、まぁ、誘ってみましょう、と告げる。堀先輩がほおをかいた。


「と、いうわけで、行きませんか」
「遥さん、主語がないからわからないよ」

 千代さんの言葉にそれもそうか、と思いチケットを取り出します。堀先輩と遊さんと同じくそれを覗き込んで、寝台列車? と首をかしげた三人に頷きました。

「魔術列車という名目のそれですよ。寝台列車内でもマジックショーを見れますし、死骨ヶ原という場所にあるホテルでもマジックショーを見ることができます。チケットを六枚いただいて、堀先輩と遊さん、私、後三人なんですよ」
「つーことは泊まりか」
「はい。漫画のネタにどうですか?」

 そう告げたら野崎くんはカレンダーを確認したのちに「行くか」と声をあげた。

「の、野崎くんが行くなら私も行く!!」
「鹿島もいるんだよな!!」
「いますよ」
「じゃあ、しゃーねーなー」
「事件起こりますが、キャンセル不可でお願いします」
「事件?」
「悲鳴に反応しなければおそらく大丈夫でしょう」
「は? なんだよ、それ、怖いのか?」
「ある意味スリリングですかね。犯罪予告が届いてますから」

 さらりとそう言えば顔を真っ青にした御子柴くんと千代さんに、「まぁ、警視さんと警部、素人探偵がいますから大丈夫ですよ。首を突っ込まない限り」と肩をすくめた。野崎くんの目がキラキラ輝いているのは気のせいではない。

「だ、大丈夫なんだな!」
「御子柴くんは関係ありませんから大丈夫ですよ」

 そう告げて伸びをする。

「鹿島くん達は知ってるの?」
「はい、二人とも了承済みですよ」

  私の返事に安心したのか二人は顔を見合わせた。まぁ、あの二人はこの前殺人事件に遭遇しましたから、という言葉は伏せておきました。

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