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理由が色々あるんです
「私、はじめてだよー! 寝台列車!」
そう笑う千代さんは可愛らしいです。寝台列車、ということで覚悟はしていましたが、やはり野崎くんには全体的に小さいですね。本人はういういと漫画のネタにするんだと写真を撮りまくっていますが。喜んでいただけてよかったです。
ちなみに、プラスでお金を出せば部屋を変えれるようだったので、みんなと相談して客室を変えました。三人部屋が二つです。男女で分かれています。まぁ、本番は明日ですので、何もない今はこう写真を撮りに回っている感じです。
「遥」
聞こえてきた声の方に振り向けば、兄がいました。どうやら兄は一等室をとったようです。近くにいた堀先輩(彼もまた呆れたように写真を撮っていました)と遊さんが首をかしげました。
「近宮の兄さんか?」
「はい。遙一兄さん、こちらは部活の堀先輩と同級生の鹿島さんです」
「妹がお世話になっております」
「いえいえ、逆に世話になるくらいで」
「私はお世話してるよ!」
「お前もされる方だろ!」
そんなやり取りに兄はクスリと笑い、私に伊達眼鏡をかけました。そのままマスクも取り出し、私につけます。されるがまま? 兄にも考えがあるのでしょう。なので私は抵抗しません。
「変装ですか?」
「ええ、バレると厄介でしょう?」
「そうですね」
「明智警視達との顔合わせは、明日の方がいいみたいですね」
「はい」
そんな会話をすれば、兄は二人に薔薇を渡して部屋に去って行きました。
「なんか遥のお兄さん! って感じだね」
「嬉しいです。……堀先輩、申し訳ありませんが、私のことは高遠と呼んでください」
「なんでだ?」
「ちょっとこの魔術団と相性が悪くて」
そんな会話をしながら、野崎君たち三人と合流しました。野崎くんがネタが浮かんだからネーム描きたい! とさりげなく主張したので、部屋に戻ろうと踵を返そうとした時でした。前の車両からその人が来たのは。
びくりと肩を揺らした御子柴くんに、あれはマジシャンの方ですよ、と告げる。彼は千代さんに近づくとカードを薔薇にして見せました。
「わぁ! くれるんですか!?」
何も言わず礼をした彼は一人一人にカードを薔薇にして渡していきます。私の際はジョーカーのカードを薔薇にしていましたが、意味はあるのでしょうか。
彼は車両の端にいくと、パチンと指を鳴らしました。ポロリと落ちた薔薇の花に、拍手をします。そのまま後ろに下がっていった彼を見届け、薔薇の花を拾いました。
「あ、野崎くん、御子柴くん、申し訳ありませんが、私の事は高遠と呼んでください」
「? 別にいいが」
「おー、でもなんで」
「ややこしいんです、色々と」
そう肩をすくめます。というか、みなさん眼鏡には突っ込まないんですね。
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