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薔薇の花は好きですが
「北海道はいった!?」
「はい」
「わー、綺麗!」
「やっぱ広いなぁ」
そう告げた千代さんと遊さんに、朝食に行きましょうか、と声を上げる。元気に声をあげた二人と外に出れば、堀先輩達もやってきていたようで。
「朝食にいきましょうか」
「おー」
「野崎くん、北海道だよ!」
「堀ちゃん先輩! 北海道ですよ!」
そんな会話をしながら食堂へ向かえば、途中で兄と明智警視に会いました。
「あ、兄さん」
「今から朝食ですか?」
「はい。あ、紹介しますね。兄の高遠遙一と兄の知り合いである明智警視さんです。で、右から御子柴くん、野崎くん、佐倉さん、鹿島さん、堀先輩です」
「おはようございます」
ニコリと笑った明智警視に、ボソリと御子柴くんが「イケメンだな」と呟く。付け加えてインテリ系のね、といえば、二次元かよ、と彼は突っ込みました。確かに二次元スペックですね、明智警視。
その後、金田一くんと七瀬さん、剣持警部、佐木くんとも合流し、お互い自己紹介しました。御子柴くんは人見知り発動するし、野崎くんは金田一くん七瀬さんコンビに幼馴染ということは付き合ってるのか!? といい、二人して顔を真っ赤にしたり、とまぁ同い年ぐらいだからできる会話をしていました。
で、やはり金田一くんの元に運ばれる薔薇のサラダ。それを見て注文しようとする野崎くん。あんなのどうやって食べるんだと止める堀先輩。そんなこんなで賑やかにしてますが、兄さん達からの微笑ましいという視線が痛い。辛いです。
そして、ひょこり、とやってきた車掌さんのポケットからはロバートが顔を出しました。そのままロバートは私達の机へ着地します。!? と固まる周りをよそに、私は顔を下に、ごく普通に人形をみるような動作でうつむかせました。
「やぁ、昨日はよく眠れた?」
「わぁ! 人形が喋った!」
「よ、よく眠れたぜ」
尋ねられた御子柴くんが戸惑いながら返します。そのまま車掌さん――さとみさんがマジックショーの始まりを告げました。
兄の隣に行けばよかったとため息をつきます。
始まったマジックショーにやってきた夕海、左近寺、桜庭。母が生きていれば私もあそこにいたのでしょう。全く気がつかない彼らに私は息を吐きました。
山神の番になります。が、やはりやってこない彼。後ろの席で、由良間とあのマネージャーが揉めているのが聞こえます。山神は、と考えて、山神をどうしたのかわからない私がいました。
思い出せないのです。兄に視線を移します。彼もまた、顔をしかめていました。金田一くんや明智警視もです。そう、魔術列車で使ったトリックが何一つ思い出せないのです。
背後の由良間が立ち上がったので、マネージャーと目が合います。彼は目を見開き、そして優しい笑みを浮かべました。彼なのでしょう、チケットや犯行声明を送ってきたのは。
違ったことは由良間は立ち上がると、そばにいた御子柴くんを指名し普通にマジックをしたことでしょうか。笑いに変わることもなく終わったそれに、マネージャーと由良間は去って行きました。
御子柴くんが席に座ります。凄かったね!とはしゃぐ周りを置いて、由良間は由良間で私の後を引き継いだのだから大変だろう、と考えました。なのでふざけたマジックもしなかったのでしょう。私も会話に混じることにし、簡素に彼らが何のマジックを得意とするか告げて行きます。
その時、兄達に電話がかかり、テーブルに置かれた薔薇の花が爆発しました。視線が注がれたそのテーブルで、兄がハンカチを残骸にかけます。そしてハンカチを取ると残骸は薔薇の花に変わっていました。周りはマジックの続きだと理解したようです。
そのまま起きた爆弾騒ぎに一応安全のため、列車の外へ。そこで、「犯行声明でてたの忘れてた」と遊さんがぼやきました。予告時間を過ぎれば、薔薇の花火が上がります。ヒラヒラと舞い落ちるそれに、なんだサプライズか、と納得した乗客たち。
そのまままた列車に帰れば、悲鳴が聞こえ、ワクワクとした表情で行こうとした野崎くんを止めました。
「おそらく、少女漫画家な貴方が見ていいものではありませんよ」
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