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トラウマの理由は



「と、いうわけです」
「だからお前、舞台の上部が怖いのか」
「トラウマですよ」

 兄に呼ばれた為、簡易に事故のことだけ五人に話すとそれぞれ色んな表情をいただきました。だからお前こんなにも闇が深いのか、と野崎くんに言われました。ほっといてください。あとみんなに頭を撫でられました。不覚にも泣きそうでした。
 私だけだと心配だそうなので、堀先輩と舞台に近づきます。その度に光景がフラッシュバックし、ある程度進んだところで私の足は止まりました。進めません。

「ちか……高遠?」

 堀先輩が首をかしげます。一歩踏み出したところで、気持ち悪くなりました。蹲ります。堀先輩が近づいてきました。そして、もう一度、私の名を呼びます。堀先輩は私を見て、舞台を見ます。

「高遠さん呼んでくるから――」

 そう告げて立ち上がった彼の服を引きました。彼は息を吐いて、私を軽々と抱き上げ、舞台袖から舞台に上がりました。おそらく、舞台には魔術団の人はもういないのでしょう。

「高遠さん」

 堀先輩が兄を呼びました。兄が私の名を呼び、こちらに来るのがわかります。七瀬さんの大丈夫?という声も聞こえます。ゆっくり息を吐きます。このままでは、いけない。堀先輩になんとか下ろしてもらいます。左近寺の死体はもうありませんでした。おそらく回収されたのでしょう。

「遥……大丈夫、じゃなさそうだ」

 やってきた兄が私の顔を覗き込見ました。そこからの記憶はありません。おそらく気を失ったんでしょう。やはり見た悪夢に、起きてから息を吐いたのは仕方ありません。



 夢の中で、私は永遠にあそこにぶら下がっていました。母は私の手を握ったまま、自分を落とすように告げます。私は嫌だと首を振りました。いつも通りの、あの記憶の夢です。

「誰か――誰か、助けて!」

 いつもなら、ここで私は落ちます。しかし、今日は少しだけ違いました。誰かが私を助けようと奥から来たのです。しかし、間に合わずに私は落下しました。そこで夢から覚めたのでした。


 どうやら私が気を失っている間、というよりも、昨晩、金田一くんが底なし沼にはまりかけ、偶々それを見て追いかけた堀先輩、野崎くん、遊さん、御子柴くんが助けたそうです。千代さんが明智警視や兄、剣持警部がを呼び、全員ことなきを得ました。生死を共にしたからでしょう。金田一くんと仲良くなっていて少しだけ仲間外れになった気分でした。



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