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彼は何者でしょうか
あの後、野崎くんが遊さんがいない間に漫画をすごい勢いで描いてました。
見てみると、私と由良間でした。漫画の中ではハッピーエンドなので、許すとしましょう。
私には由良間に恋愛感情などありませんが。彼からは恋愛感情をもたれていたようで。マネージャーさんが教えてくれました。その時、ぼ、く、も、貴方が、と言われましたが兄が笑って割り込みました。目が笑ってい無かったとだけ告げればわかると思います。
そう言えば、ずっと謎であった、何故兄が私を知ったのかという謎も解けました。マネージャーが真相を探るにあたり、兄に行き着いたらしいです。これからどうするのか、という問いに彼は肩をすくめました。
「しばらく、僕は海外に行こうと思ってるんだ。また会えるよ」
そう告げた彼とは駅で別れます。彼は言語に優れますから、海外でも通用するでしょう。
それからは普通の夏休み。非日常から日常へ帰って行きます。野崎くんの家で原稿を手伝っていると、千代さんが首をかしげました。
「遥さん、マネージャーさんから連絡きた?」
「そんなすぐに連絡くるわけないですよ」
「そっか……」
「そういえば」
野崎くんがそう告げた為、私と堀先輩、千代さん、若松くん(かれは野崎くんの漫画を読んで何かを理解したらしいです)の手が止まります。なんだろうと首をかしげました。
「あのマネージャーさんの名前は?」
そう告げた彼に、私は思考を巡らします。魔術団では、みんな彼を「マネージャー」としか読んでいません。いえ、一度だけ。母がこう彼を呼びました。
「――赤尾」
そこだけ告げて、私は動きを止めました。記憶の中で、彼が口を開きます。私の初対面のころ、です。彼がマネージャーとして働き始めてすぐのころでした。
「――赤尾、一葉」
「へぇ、赤尾さんかぁ、」
盛り上がり始めた彼らに、私は思考を止めたままです。赤尾一葉、それは確かに、自分や兄があの極門塾の下で使った偽名でした。
――はじめまして、小さな魔法使いさん。僕の名前は赤尾一葉。そうだな、お兄さんって呼んでほしいかな。……冗談だよ。
そう笑った彼は、何者でしょうか。
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