34
黒魔術? 黒歴史ですよね
電車に揺られます。隣にいる先輩は爆睡をかまし、私は手元の雑誌をめくります。兄の特集が組まれていました。卒業したら、兄が一緒に世界を回ろうといってくれています。ので、卒業後はそうなるでしょう。
電車から降りると、彼は顔をしかめたまま私の手を引きます。手を取る際、震えていたというか、緊張していたのにクスリと笑えば、彼はツィっと片眉を跳ねあげました。それに、いいえ、とだけ告げ、彼の隣に並びます。彼が行く方には黒塗りの高価な車が止まっていました。迎えでしょうか。そのまま中に入り、車に揺られた先にはやはりあの館がありました。葡萄の館、改めて、ブードゥの館です。見上げていれば、顔をしかめっぱなしの先輩が私を見ました。そして、行くぞ、とだけ告げます。私の荷物を持ってくれる優しさはあるんですよね、と思いながらあとを追いました。
――火祀家と言えば。
借金を返すために、金田一くんの幼馴染の家族を殺した赤の他人のはずです。彼が犯行に加わっとは思えません。彼はおそらく、火祀の父親の実子なんでしょう。そして、父親は先日電車にひかれて亡くなったとニュースでやっていました。彼が不機嫌だった期間と丸かぶりです。
「あれ? 純くんと……」
「近宮さん!? なんでここに!?」
そう声を上げたのは紛れもなく金田一くんでした。振り返ればやはり、金田一くんと七瀬さん、そして青年がいました。隣にいた火祀先輩が私を見下ろします。
「知り合いか?」
「ええ。兄の知り合いから転じて私の知り合いになりました」
「えっと、」
「あー、金田一くん。兄はいません。今は海外にいます。私は火祀先輩に呼ばれてきました」
そういえば、グイッと首元を引かれます。彼はそのまま歩き出しました。おや?と首をかしげて歩き出します。後ろでは先輩に対する説明がされます。やはり、彼は火祀家の末っ子のようです。それから、火祀家の人に会うたびに、彼は簡単に私に説明をしていきます。兄、だとか、姉、だとか、本当に簡単すぎて笑えますが。私は記憶の中のそれて合致させていきました。
そして始まった黒魔術。黒瓜と名乗った彼の手を見つめますが、兄の手ではありません。しかし、どこか既視感があります。それについて考えていれば、終わったそれ。ハーブティーを飲んで終わりでしたっけ。先輩を見ますが、顔をしかめています。おそらく、彼は黒魔術など信じていないのでしょう。そう結論付けて、口を開きます。
「先輩、お腹が減りました」
私の言葉に、先輩の姉である星子さんがクスリと笑いました。先輩は、というと、黒瓜さんが退出したあとを見つめています。何かあるのでしょうか。
PREV BACK NEXT