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先輩はレーダー搭載です
霧島は窓から飛び降りて何処かへ消えてしまいました。金田一くんとともに先輩をベッドに運びます。謎解きは金田一くんに任せるとしましょう。ゆっくりと目を見開いた先輩は、ガバリと起き上がりました。
「霧島ならいませんよ。また窓から飛び降りて何処かへ逃げました」
私の言葉に、先輩は息を吐きました。それをちらりと見て、呼んでいた本に目を移します。
「貴方は霧島の弟なんですね」
私の言葉に彼はだまりましたが、しばらくしてからまた「ああ」と答えます。
「アイツは、俺の兄貴だった。でも、アイツは死んだことになってる」
「私の兄――高遠遙一が解決した事件、でしょうか」
「そうだ。その事件でアイツは死んだことになった。そして、兄の死を聞いて帰ってきた両親が寝ている間に家に火をつけたんだ。俺はその時、眠れなくて、外にいたから助かった」
本をとして、先輩を見ます。彼は布団をぐっと握って口を開きました。
「――今でも覚えてる。アイツが、燃え上がる家を見て嗤ってたのを」
「目撃した貴方を霧島は殺さなかったんですね」
「お前と俺は同じ資質があるからって。一緒に行かないかって言われた」
「でも、先輩はその話にのらなかった。懸命な判断ですね」
「もう痛い目は見たくないからな」
「もう?」
「昔から夢を見るんだよ。犯罪を犯して、お前そっくりな奴に殺される夢だ。同じ目に会いたくない」
自嘲的に嗤った彼の言葉に、私は動きを止めます。彼はもしかしたら、私の知る霧島純平なのかもしれません。いや、まさか。でも、夢で見るのであればその可能性は十分にあります。先輩はそれから少し笑います。
「でも、あの人達に会わなきゃそうなってたかもな」
「あの人達?」
「俺は父親のつながりで火祀家の養子になったが、ここの家は嫌いでな。別のところに住んでる。年に一回、コレぐらいにしか来ない。嫌いなんだよ、こういうの。別のやつは予定詰めてるし。お前を呼んだら呼んだで、アイツがいるし。アイツはお前に執着してるし」
「先輩はどのタイミングで黒瓜さんが霧島だと?」
「なんか知んねぇけど、すぐ分かんだよ。アイツだけは」
「……センサーかレーダーでも付いてるんですか」
ポツリと呟いた言葉に、先輩はおもいっきり顔をしかめました。嫌だったみたいですね。私もそういうことを言われたら嫌ですし、気持ちはわかります。
「巻き込んで悪かったな」
「いえ、別に。殺人事件はなれてますから」
「――あん時、色々と悪かったな」
ポツリ、と謝った先輩に首を傾げます。あん時、とは。どの時でしょうか。
「養父が死ぬし、夢で見たそっくりな奴が現れるし、色々と散々だったんだよ」
「彼女にも振られるし、ですか?」
「うっせ、あんな奴付き合ってもねぇよ」
「遊びですか、なるほど」
「お前、殴るぞ」
「仕返しするので、お好きにどうぞ」
「……可愛くねぇ奴」
「私に可愛さを求める貴方がおかしいのでは?」
そう言って本で軽く先輩の頭をたたきます。
「……まぁ、貴方がなにか事件を起こさなくてよかったですよ。私も貴方を殺したいわけじゃないので。たとえそれが正当防衛だとしても、ね」
「――近宮、お前、」
「さて、私は金田一くんのところへ行きますが先輩はどうされますか?」
立ち上がり、先輩を見ます。先輩はため息を付いて、ベッドから起き上がりました。
「俺も行く」
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