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近宮遥の日常
「堀先輩、おはようございます」
見かけた後ろ姿にそう言えば、堀先輩は振り返りました。あれから2日ほど休みをいただき、今に至ります。体は元気です、心もやっと落ち着きました。
眉間にしわがよっている先輩に首を傾げれば、頭をぶたれます。痛い。首をグイッと引き寄せられると、グリグリとゲンコツをしてくるではありませんか。
「痛い、ギブです!ギブ!!」
「俺を騙したバツだ!」
「ごめんなさい、痛い、痛いです!」
「あのな、本気で心配したんだぞ」
そうつぶやくように告げた先輩から視線を外します。自分のせいで、近宮が死ぬとか、記憶がなくなるとか。そう言った彼に本気で申し訳なくなります。
――彼は、巻き込まれただけです。
「突き放してくれても、いいんですよ。私は事件を呼び寄せますし、先輩に遊さんに、まわりに、もっと危険がくるかもしれません。だから、」
「あのな、近宮。言っただろ? 俺は友達をちゃんと選ぶって」
「……」
「お前や鹿島、野崎たちといたいから友達やってる。だから、突き放すことはしない。気にすんな」
「……はい、」
「でも、お祓いはいってくれ。頼む」
「はい、そうします」
「あー!!遥!!遥と堀ちゃん先輩がいちゃついてる!私も混ざる!!」
遊さんの声が聞こえたと思えば後ろから抱きつかれました。周りが流石王子、空気よまねぇ、とか、堀ちゃんが空気壊したけど、とかいう言葉が聞こえます。
「もー!遥ー!堀ちゃん先輩から聞いたんだからね!演技だったって!」
「ははは。遊さん、それより」
「話そらしちゃダメ」
そうデコピンをした遊さんに、騙した罰!毎日するから!といわれ、苦笑いします。デコピン毎日はつらいです。
その後。
みんなに代わる代わる怒られ、火祀先輩には「ついに死んだかと思った」と言われました。怒るのはまぁ私が悪かったので納得しますが、死んだ云々は失礼な話なので薔薇の花で鞄の中を埋めてきました。無駄な労力?そんなことないです。あと、みんなからお祓いを勧められました。お祓いで治るなら、私も金田一くんも苦労しない気がします。
そんなことを帰り道、兄に話します。
体調の面や危険を配慮して私には送り迎えがつきました。兄か高宮さん、明智警視なんかが来たり、無理なら堀先輩達に送ってもらえ、ということです。手を握ってポケットにいれる兄に、まるで恋人のようだと思いながら駅前の道を通ります。兄は「でも一応行きましょうか」と答えました。私と兄で行くことにより、その神社でまた事件が起きそうなことは口にしないでいいでしょう。
不意に、ガン、とぶつかった肩にすいませんと謝ります。ひとがおおいと、ぶつかるのは良くある話です。しかし、向こうからきた返答は私の発したそれと似た言葉ではありませんでした。
――また遊ぼうぜ。遥チャン?
兄と私はハッとして振り返ります。しかし、夕方だけあり人混みができていて、言葉を吐いたのが誰か把握できませんでした。
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