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疑惑加速、そして解決
月曜日。
偶々繁華街を堀が歩いていたら高宮と会った。高宮に真相を聞けば、高宮は少し笑って口を開く。
「さぁね、遙一がぼくに教えてくれないんだ。でも、ありえるかもしれないね。ああ、でも引っ越すかもしれない。段ボールがあったから」
火曜日。
偶々来ていた近宮だが、どうやら先生に何かを提出しに来ていたらしい。職員室で見た若松曰く、何かプリントを渡すと、先生は笑いながら「頑張れよ!」と励ましていたらしい。
飛んで木曜日。
水曜日も休み、やっと授業を受けている近宮ではあるが、やっぱり部活にも手伝いにも行けないらしく、申し訳なさそうにしていた。鹿島が何をしてるの?と聞けば、あの掴めない笑みで、「今はまだ秘密ですよ」と告げた。
そして、今日、金曜日である。
「これ、ヤバイんじゃないか」
そう呟いたのは野崎である。いよいよ転校に向けての話が真実味を帯びてきた。鹿島がどんよりとしたような雰囲気で項垂れている。
「でも、遥さんの夢だもんね。応援するしかないよ、鹿島くん」
「でも、千代ちゃん、」
うなだれている鹿島に、佐倉が励ますように言う。あ、近宮と堀先輩、と鹿島の後ろ側を見て告げた御子柴に鹿島が勢いよく振り返る。それに伴い周りもそちらを見た。
「おや、みなさんお揃いですか? お久しぶりですね」
そう笑いながらやってきた近宮と堀に、鹿島が抱きつきに行く。
「うー! 遥ー!! 私、応援するよー!」
鹿島の言葉に、近宮が少し動きを止めて、「ありがとうございます」と苦笑いした。野崎達は堀に視線を向ける。堀は首を左右に振った。
「堀先輩もそうですが、何でそんなに情報が回るのがはやいんですか?」
「あー……」
「え、じゃあやっぱり!」
「ええ、」
佐倉の発言にニコリと笑った近宮。それを聞いてまた佐倉が大きく口を開くのと、近宮が口を開くのは同時だった。
「転校するの!?」
「マジック甲子園に出ることになりました」
お互いがお互い動きを止める。周りも動きを止める。唯一訳知りがおの堀がやれやれという風に肩をすくめた。
「転校?」
「マジック甲子園?」
「あ、」
ポン、と手を叩いたのは野崎である。思い当たることでもあったのか、近宮を見た。
「あれか、最近、CMしてるやつ。高校生マジシャンの一番を競うの」
「それです」
「転校するんじゃなかったの!?」
「どういう認識でそうなったんですか?」
そう首を傾げた近宮に、佐倉と鹿島が口を開くのは。
「だって、遥、最近学校休みがちだったし……!」
「あー、兄に修行をつけられていたので。修行を再開しましたが、まだ一人でステージは立ちませんね」
「先生に渡してたプリントは!?」
「参加締め切りが一昨日でした」
「引っ越すって聞いたよ!?」
「あー……引っ越しはしますね」
でも転校はしません。
近宮の答えに、鹿島と佐倉が近宮に抱きついた。目を瞬いた近宮は珍しく驚いているらしい。
「もしかして、堀先輩もあからさまに先ほど安堵していたのはそういうことですか?」
「ああ、悪いな。でも良かった」
背景担当が一人にならなくて。
堀が呟くことはないが、近宮は頷いた。
「しばらくは先輩一人にはさせませんよ」
野崎くんの背景技術が上がるまでは。
そんな無言の阿吽があるのだが、それを聞いた周りは違うものを浮かべた。一人を除いて。
――ああ、鹿島君かぁ。
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