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連れ出した烏、追いかけるは
「貴方は……」
「この前の事件振りだね、堀くん、だったかな?」
そう口元に笑みを浮かべた高宮さんに、堀先輩は目をただパチパチと瞬くだけです。私も固まってしまいます。色々と頭がこんがらがりそうです。
しばらく車を走らせた彼は、何処か高級そうなホテルにつくとクシャリと前髪を後ろにあげます。そして、車に乗ったまま入り口付近に立つボーイに声をかけました。
「すいません、オーナーに話を通していただいている者ですが」
「あ……! 話は伺っております! 裏口にお車をお回しください!」
「ありがとう」
そうにこやかに笑った高宮さんは、ホテルの裏側に車を回しました。待ち構えていたボーイが私たちを案内し、通された部屋は最上階のスイートルームでした。
「……高宮さん?」
「どうかしたのかな? 遥」
どうかしたかな、とは。そりゃあ、言いたいことはたくさんあります。どうしているのか、だとか、そう言うことです。ぐるぐると忙しなく回る思考に落ち着こうと深呼吸をします。そして、彼を見て、堀先輩を見ます。
「ちょっと状況を整理させてください」
私の言葉に、高宮さんは喉を鳴らして笑いました。
「僕が遥を連れてきたのは、遙一の頼みだよ」
「遙一兄さんの?」
「この前、珍しく遙一から連絡が来てね、もし『こうなった』時は遥を安全な場所へ連れて行って欲しい、と言われたんだ」
高宮さんの言葉に頭を抱えます。思考を放棄したい。
「ってことは、やっぱり近宮がやったんじゃないんだな?」
そう首を傾げた堀先輩に頷きます。私は一切手を出していません。
「っていうか、なんで堀先輩がここに……」
「ああ、なんか、スタッフがお前を連れて行くのが光の中で見えたから、鹿島とつい……」
「うん、遙一の計算通りだから心配はない。誰かしら遥についてくるだろうって言っていたからね。僕としても、遥がああいう風に人を殺すとは考えにくかったから」
そう告げた高宮さんに、私が人を殺す前提なのかとか色々と言いたいですが、黙っておきました。堀先輩が引き攣った笑みを浮かべます。高宮さんは首を傾げました。
「だって、遥は自分が人を殺したならば真っ先に自分が疑われるようにしないし、発見されるミスを犯さないだろう?」
「ノーコメント、と言いたいですが、そうですね」
「肯定すんなよ」
「いや、だって、堀先輩、私はマジシャンですよ。密室不可思議トリックを作り上げることくらいできます、作ったことは17年間ありませんので、多分ですが」
「なんかマジシャンのイメージが変わりそうだな……っておい、じゃあ、あの中の殆どが」
「ええ、そうですね。殆どがあのトリックを考えることができるかもしれません。よって、殆どの人が容疑者ですよ」
私が頷けば堀先輩がゴクリと唾を飲みました。
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