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仮捜査タイム
「鹿島くん、どうだった?」
電話を終えて戻ってきた鹿島に佐倉が尋ねる。鹿島は「なんかね、」と口を開いた。
「あのタワーを動かせれば第二発見者の蘭堂さんが怪しくなるんだって。無事だしそのうちこっちに戻るかもだからとりあえず調べろって、堀ちゃん先輩が」
「タワーってあのグラスタワーのことか?」
そう首を傾げた御子柴に鹿島が頷く。奥の扉の手前には確かに布がひかれている荷台に乗ったグラスタワーがある。
「あの後ろの扉が屋上の階段に通じてるんだって」
「と、なると、高遠さんや明智さんが言っていたのを考えて……犯人はどうにかしてあのタワーを動かして、そのまま屋上に上がり、別の階段から降りてまた現場に戻ったのか」
「そうなると確かにあの女の人が怪しくなるな」
野崎の言葉に御子柴は頷く。鹿島はそのまま現場にいる明智と高遠に声をかけた。
「遥のお兄さーん、明智警視ー、入っていいですか?」
「え、鹿島くん!?」
鹿島の言葉に佐倉が驚いたように鹿島を見上げる。高遠と明智は頷いて許可をした。
「構いませんが、気をつけてくださいね」
「はーい」
部屋に入った鹿島はグラスタワーを見る。そわそわしている野崎に、高遠は貴方達も荒らさなければ大丈夫ですよ、と告げた。恐る恐る入った佐倉と御子柴、野崎が少し目を輝かせているのを見て高遠はなんと言えばいいか迷う。
「――貴方はこういうジャンルじゃないでしょう」
「え」
「さっきから思ってましたが、高遠さん知ってるんですか?」
「ええ。遥から話は聞いてますし、遥が買ってくるので読んでますよ」
そうさらりと告げた高遠に野崎は目をパチパチと瞬いた。明智は首をかしげる。高遠は肩を竦めた。
「ああ、いえ、なにもありませんよ、明智警視。他の方の証言をとりますか?」
「そうですね。彼らだけ残しておくのも些か不安ですが」
「では、私が残りますよ。……明智警視、一つだけお願いがあります」
「なんですか?」
「テレビ局内の監視カメラに遥の姿が映っていた、と言ってもらってもいいですか?」
「どうして?」
「そうする事で犯人が動く可能性がありますから」
ちなみに遥は今非常線の外ですので。
さらりと告げた高遠に、明智は少し考えて頷く。どうせなら泳がせたほうがよさそうだ、という判断によるものだ。
「わかりました。何かわかれば貴方に連絡を入れます」
そう返事をして明智は事件現場を後にした。
「――で、皆さん何かわかりましたか?」
「うーん、このタワーって動かせないんですよね?」
そう首を傾げた鹿島に高遠は「触ってみますか?」と手袋を一組差し出す。それを身につけた鹿島は、そっとグラスタワーの荷台を動かそうとして止めた。少しの振動でグラスタワーが揺れたからだ。
「これじゃあ動かせないね」
「うーん、」
「……堀くんから何か聞きましたか?」
「はい、えっと、このタワーを動かした先の扉は屋上に通じる階段になってるって」
「それは誰の情報がわかりますか?」
「遥のもう一人のお兄さん……?」
「なるほど。他には?」
「控え室側の屋上に通じる扉は屋上からしか鍵の開け閉めができないって言ってました」
鹿島の言葉にふむ、と高遠は考える。ここで待っていてくださいね、と四人に告げるとそのまま事件現場を後にした。控え室側にある階段――屋上へと向かうそれに手をかけるとやはり開いているそれ。一度屋上へと上がり、もう一つある下へ降りる階段――非常階段のようだ――を降りて扉を開けた。すると、目の前には四人がいる。
「逃走経路は間違いなさそうですね。しかし、屋上への階段はいつも閉まっていたか確認しないといけません。私は少し明智警視に連絡しますので、このタワーの動かし方を考えてもらってもいいですか?」
高遠が笑って尋ねると、四人は頷いた。
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