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役作り、猫かぶり




 出るのは難しいけれど、入るのは簡単である、とはこんなことでしょう。すんなりと三人で入れた非常線の内側。恐らくは兄さんと明智警視が「私」がテレビ局内にいると言ってくれているんでしょう。そのまま堀先輩が警察の方に事情を話し、控え室へ向かいます。控え室をノックすれば野崎くんの返事が聞こえ、堀先輩が扉を開けました。中には四人がいます。

「堀先輩! と、」
「みんな元気そうでよかったよー」

 そうふにゃりと笑ってみます。動きを止めた周りに、側にいた堀先輩が「赤尾と火祀連れてきた」と告げました。そのまま火祀先輩の腕を引き、控え室の床に座ります。

「……もしかして、チで始まってヤで終わる苗字のやつか?」
「うん、チで始まってヤで終わるね」

 そうニコニコと笑えば、周りはホッとしたように息を吐きました。私はそのまま首を傾げます。

「堀ちゃんに聞いたけど、またややこしくなったんだって?」
「ああ、蘭堂さんが殺害された」
「高遠さんたちはそっちにいるの?」
「うん」
「ふぅん……」

 そう言って考えます。先ほど書いていた図を取り出し、ペンも取り出しました。

「火祀くんも考えてよ」
「何で俺が」

 そう悪態をついた火祀先輩に、得意でしょ? と答えておきます。彼も恐らくはそういう考えが浮かびます。そしてそのまま四人を見ました。

「色々教えて。まず、蘭堂さんはどうして亡くなったの?」
「マジックの仕掛けに細工されてたって、遥のお兄さんが言ってたよ」
「と、なると、テレビカメラが回ってる時に起きたの?」
「うん、いきなりね」

 そう冷静に告げた遊さんに考えます。
 とりあえず、紙の端に容疑者というか、関係者を書き出します。

「マジックの細工は多分、マジックができるとは言えプロじゃない普通の高校生には無理だから、今の容疑者は近宮遥を入れて四人になるね」
「四人?」
「ただ、マジックができて、細工ができそうな人を考えるとね」
「えーと、花森さんと、スクワードさん」
「近宮……あと一人は?」
「高遠遙一。近宮遥の兄だ。彼もマジシャンだから……」

 そう淡々と告げれば、周りは固まりました。それはそうでしょう。血の繋がった兄弟であるのに、容疑者にいれるなんて。何か言いたそうにする周りに「僕もないと思うよ」と笑います。確かに彼は蘭堂さんをうっとおしそうにしていましたが、それだけです。それに、マジシャンである事に誇りを抱く彼が、マジックの用具に細工することはないでしょう。マジックのトリックを犯罪に使うとしても。

「花森さんとスクワードさんはどうなんだ?……あ、待てよ、花森さんって、あの時、俺たちの前を走ってたよな」

 そう言った堀先輩に、野崎くんが同意するように頷きました。

「あの時、俺たちは花森さんが控え室から出てくるのを見てる」
「スクワードさんは?」
「スクワードさんは高校生と一緒に来たよ」
「しかも、俺たちのすぐ後ろにいたぜ?」

 御子柴くんの言葉に考えます。

「じっとしていても、始まりません。ちょっと捜査しましょう」

 そうパチンと手を叩きます。地声になってしまったのは仕方がありません。堀先輩に思いっきり叩かれました。痛いです。

「痛いじゃないですかぁ、堀ちゃん、」
「馬鹿野郎、舞台に立ってると思え。素を出すな」
「堀ちゃんが厳しい……」

 そううらめしくみつめてみます。遊さんが庇ってくれましたが、遊さんも怒られてしまいました。



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