エスケープ フロム エマージェンシー-3-


「大丈夫ですか? 早く安全なところに」

 ツェッドはそう言ってから、後悔した。ここはHLではないのだ。自分の姿は異質ではない。案の定、子供も少し怯えた表情でツェッドを見る。襲ってきた屍喰いにツェッドはその子供を抱えると、大きく飛び上がり攻撃を回避する。そのまま近くの安全そうなビルへ子供を連れて行くと、中にも同じような大人がいたらしい。全員が怯えたようにツェッドを見た。
 ――やはり、僕は来るべきじゃなかった。
 浮かんだ考えに、今はそうするときではないとツェッドは首をふる。とりあえず、子供をおろしてツェッドはビルに向かってくる屍喰いを睨んだ。外見がどうとか、言っている場合ではないのだ。

「斗流血法・シナトベ、刃身の伍、――突龍槍」

 ツェッドが三叉槍を作り上げる。そしてそれを屍喰いが大量にいる空間の宙へと投げた。

「刃身の弐 空斬糸――龍搦め 天羽鞴」

 三叉が糸となり、屍喰いを拘束する。そして、大きな竜巻が屍喰いを襲った。
 ビルの目の前が安全になったのをみて息を吐くと、静寂のうち、歓声がわいた。ツェッドがそれに唖然としていれば、後ろにいた子供がクイッとツェッドの服を引く。

「あの、ありがと」
「――いえ、――どういたしまして。助けを呼んできます。ここから動かないようにしてください」

 そう告げてツェッドはその場所を後にする。道路に出た所で、目の前に現れた屍喰いに顔をしかめるが、盾が飛んできてその屍喰いを倒した。

「ツェッド、無事でよかった」
「キャップさん、」
「人はいたか?」
「ええ、あそこのビルに」
「地下へ避難させよう。手伝ってくれ」
「喜んで」
「それが片付き次第――」
「――あそこですね」

 二人の視線はスタークタワーへ向く。スタークタワーの付近で、また砂煙が上がった。


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